警察と一緒に高齢入居者の部屋に入った結果…
【太田垣】高齢の賃借人の問題を語るとき、避けて通れないのが孤独死なのですが、クマさんも遭遇した経験はありますか?
【熊切】つい、この間もありましたよ。
【太田垣】この間!?
【熊切】はい。まだ70歳くらいの方だったんですが。
【太田垣】どういう状況だったんですか?
【熊切】定年退職した会社にアルバイトのような形で入ってた方なんですが、出勤するはずの日なのに来てないとご本人のお兄さんに連絡があったそうなんです。それで、安否確認してほしいとうちに連絡があったんです。
【太田垣】なるほど。
【熊切】それで、おまわりさんと一緒に部屋を訪ねてみたら、中がすごいことになってて。
【太田垣】いわゆる「汚部屋」ってやつですか?
【熊切】そう。それで、ゴミをかき分けて中に入っていったら、亡くなってる本人を発見したんです。
【太田垣】なかなか強烈ですね。死因はなんだったんですか?
【熊切】おそらく熱中症なんじゃないかなあ。電気は付けっ放しなのに、エアコンが動いてなかったんです。どうやら壊れていたみたいで。設備のエアコンだから、連絡をもらえていたらすぐに直しに行ったのに、連絡をもらった形跡はないんですよ。
汚部屋が孤独死を引き起こした?
【太田垣】これだけ暑い時期だから相当辛かっただろうに、なぜ連絡されなかったんでしょう?
【熊切】これは僕の想像でしかないのですが、汚部屋を見られたくなかったんじゃないかなあと。
【太田垣】なるほど。確かにその可能性はあるかもしれませんね。亡くなられてから何日くらい経ってたんですか?
【熊切】出勤してこなかった翌日ですから、死後1日です。だから夏ではあったけど死体の腐敗はなかったんですよ。でもゴミは腐敗してました。
【太田垣】その撤去も大変ですよね。
【熊切】亡くなられたことは残念ですが、近くにお兄さんがいらっしゃったから、撤去の費用も負担してくださることになりましたし、解約手続きなどもスムーズに進んだので、まあ、家主さんのダメージは最小限に抑えられたかなとは思います。