高齢者の入居を拒む不動産業者は多い。それは孤独死されるのを避けたいからだ。司法書士の太田垣章子氏は、「いまの法律では孤独死の後も契約が続いてしまう。その場合、相続人を見つけて解約してもらわない限り、その部屋をほかの人に貸し出せない」という——。
※本稿は、太田垣章子『老後に住める家がない!』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。
増加する「一人暮らし高齢者」の住む家はあるのか
本当に高齢者は、賃貸物件を借りられないのでしょうか。
国立社会保障・人口問題研究所が発表した2018年人口推計によると、65歳以上の人口の割合は2015年が26.6%(約4人に1人の割合)であるのに対し、30年後の2045年には36.8%(約3人に1人)の割合になり、75歳以上の人口は同様に12.8%から21.4%に増加します。とりわけ単身高齢者世帯数は、2015年は601万世帯であるのに対し、20年後の2035年には762万世帯まで増加が見込まれています。当然、賃貸物件を借りたいと思う人も増えてくるはずです。
今現在、賃貸物件に住んでいる人たちはそのまま賃貸物件に住みたいと思うでしょうし、仮に持ち家だとしても、住み続けられるだけの環境(家の耐久性と生活費の確保)が整っているかどうかも疑問です。どこかの段階で、持ち家を維持できなくなったら、売却して賃貸物件に住み替えるという選択肢も出てくるかもしれません。その時に借りられないとしたら、どうなっていくのでしょう。
2018年12月、全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)は、モニター会員及びメルマガ会員に、高齢者に対するWEB調査をしました。同時に不動産会社だけでなく家主の声も聞くために、私は全国の家主に同じ内容でWEB調査をしました。全宅連は355サンプル。家主の方は491サンプルです。