高齢者は部屋を借りることが難しい。なぜなのか。賃貸管理会社で統括部長を務める熊切伸英氏が、司法書士の太田垣章子氏との対談で本音を語った――。

※本稿は、太田垣章子『老後に住める家がない!』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。

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高齢者に入居してもらうことへの漠然とした不安

【太田垣 章子(司法書士)】今日は、賃貸管理業務のエキスパートである熊切さんにぜひ、高齢者の賃借人についての嘘偽りないお話を聞かせていただきたいなと思っているので、どうぞよろしくお願いします。

【熊切 伸英(ベルデホーム統括部長)】こちらこそ、よろしくお願いします。

【太田垣】熊切さんとは長いお付き合いをさせていただいているので、いつもの通り「クマさん」と呼ばせていただきますね。

【熊切】はい、ぜひ、それでお願いします(笑)。

【太田垣】最初から率直な質問で恐縮なんですけど、高齢者がなかなか部屋を借りられないのは、結局、家主さんやそれを管理するクマさんのような立場の人が、高齢者を入居させることに二の足を踏むせいですよね。

【熊切】それは、否定できませんね。正直なことを言うと、ひと昔前までは、70歳オーバーと聞いただけで、家主さんにあえて確認を取ることもなく、「無理です」って即断ることもありました。

【太田垣】やはり高齢者に部屋を貸すのはリスクが高いと感じていらっしゃるわけですね。

【熊切】まあ、漠然とした不安がある、としか言いようがないですけどね。よほどしっかりした連帯保証人や緊急対応してくれる人がいれば話は別でしょうけど。ただ、最近は、厳しいかなと思っても、必ず家主さんに確認を取るようにはしています。エリア的(埼玉県北部)に空室問題の方も深刻なので、家主さんの中には、空室を埋める方を優先したいと言う方もいらっしゃいますし。

【太田垣】多少のリスクは目をつぶるか、という感じですか?

【熊切】もちろん、そういう背に腹は代えられないという事情もありますが、高齢者って言っても最近はとても元気な方も多いし、単純に年齢では測れないということが分かってきた、という面もありますよ。だからこの年齢を超えたら一律断る、っていうのは減ってきているように思います。