対策を強化すればするほど、誤った情報やデマが流れる

確かに危機管理では先手先手で対策を採ることが重要だ。だが、新型コロナウイルスの流行は、本当に「極めて緊急性が高い」事態なのだろうか。エボラウイルスのように致死率の高いウイルスが襲来しているわけではない。冷静に判断するべきではないか。

国家権力は強大だ。防疫対策の基本となる移動の禁止や隔離を命じることもできる。しかしそうした対策を強化すればするほど、差別が生まれ、誤った情報やデマが流れる。風評被害も多く発生する。それは明治から平成まで続いてきた旧伝染病予防法と同法に基づいた隔離重点のハンセン病(らい病)対策の失敗を振り返れば明らかだ。

隔離や移動の制限の実施は、正確な情報に基づき、慎重に決めていく必要がある。安倍政権は強制入院の措置が取れる「指定感染症」の決定について、専門家会議を開かずに官邸主導で決めた。感染症の専門家からは批判の声もあがったが、「安倍1強」の前に一笑に付された。新型コロナウイルスよりも「安倍1強」のほうが恐ろしいと思うのは筆者だけだろうか。

感染症対策ではバランス感覚を欠いてはならない。意思決定の際には、そのことを肝に銘じるべきだ。

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