婚活市場が急成長している。婚活事業を手掛ける有薗隼人氏は「結婚願望はあるけれど、交際はしたくないといった傾向が強まっている。さらにSNSの影響でネットで顔出しをする抵抗感が下がった。その結果、『マッチング(恋愛婚活)アプリ』の利用が急増している」という——。

※本稿は、有薗隼人『[婚活ビジネス]急成長のカラクリ』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。

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「みんなもやっているから大丈夫」という風潮

今、「婚活産業(ビジネス)」は急速に成長しています。とはいえ、既存の結婚相談所関連事業の売り上げが、突然伸びたというわけではありません。成長の原動力となっているのは、いわゆる「マッチング(恋愛婚活)アプリ」の急速な普及です。

婚活関連の業界最大手のIBJの決算説明資料(2018年12月期)によれば、同アプリの潜在市場規模は1兆円にのぼると試算しています。2015年の国勢調査の結果を見ると、結婚適齢期(20~50代)の未婚男女の数は約1984万5000人と莫大な数になっていますので、この潜在市場規模を超える可能性もあります。

日本では過去にも、インターネットの普及に伴い、男女の出会いを斡旋あっせんする「出会い系」のアプリやサイトが流行しました。しかし、これらを利用する際、「身バレ(自身の身分や素性がバレること)」の危険性が高いことから、顔写真や実名を公開する人は少なく、利用することに抵抗があるという人も多く見受けられました。

ところが近年では、フェイスブック(Facebook)やインスタグラム(Instagram)といったSNSの影響もあり、ネット上での顔出しに対して「みんなもやっているから大丈夫」という風潮が生まれています。結果、「タップル誕生」や「ペアーズ」など、顔出しの婚活アプリが多くの人に受け入れられるようになったのです。