独身者の76%は「結婚はしたい」という願望を持つ

婚活産業の躍進、ひいては婚活意識の高まりの要因のひとつに、“結婚の自由度”が高まったことが挙げられます。それは、NHKが数年ごとに実施している意識調査の結果の変化に如実に見えてきます。

同調査で「結婚するのは当たり前」か、という質問に対して、1993年の時点で「賛成」と答えた人の割合は44.6%でしたが、2018年には26.9%にまで下がっています。これは、ひと昔前まであった「結婚することで一人前」という、社会的な同調や圧力が大幅に減少したという表れとも言えるでしょう。

一方で、「周囲からの結婚すべき」という圧力が減ってもなお、若者の結婚願望は依然として高いままです。内閣府が発表した少子化社会対策に関する調査(平成25年度「結婚していない人の、結婚する意志について」)によると、39歳以下の未婚の男女では「いずれは結婚したい」人が45.1%、「2~3年以内に結婚したい」人が16.8%、「すぐにでも結婚したい」人が14.6%となっていました。つまり、現在結婚していない人でも、76%以上の人たちは「結婚はしたい」という願望を持っているのです。

結婚はしたいけど、交際はしたくない

ただ、婚活アプリを利用する人たちの話を聞いていると、「結婚したいのではなくて、パートナーが欲しい」「結婚したほうが、お金が浮くしおトク」という考えの人も多くいるように思います。確かに一緒に住めば家賃の支払い額は減るでしょう。結婚は若者にとって、合理的です。

しかし、“結婚の前提条件”となる「交際」に関していうと、「したくない」という人が意外に多いようです。厚生労働省の調査(平成25年度「厚生白書」)によると、異性との交際を望んでいない割合は、男性が28.0%、女性が23.6%と、意外と高い数字を示しています。

その理由としては、「趣味の時間を大切にしたい」という回答が目立ちました。実際に婚活アプリの利用者に話を聞いてみても、自分のお金や時間を特定の相手に拘束されることへの忌避感や、別に付き合わなくても普通にコミュニケーションが取れると考えている人が予想以上に多いのです。