リクルート面でも効果があった

ただ、やはり禁煙戦略のインパクトは相当なものだったようで、売り上げ以外の「効果」を感じることも多々あるという。例えば、「リクルート」だ。先日オープンした神戸のFC店舗でオープニングスタッフを募集したところ、この人手不足の時代に、80人以上の応募が殺到。しかも、その多くの志望動機が「串カツ田中で働きたいと思っていた」というものだったという。

「この店のオーナーは同じ地域でほかにもいくつかオリジナルの居酒屋を経営していますが、こんなことは珍しいと驚いていました。『串カツ田中』というブランドが少しづつ広まってきているように感じます。禁煙にしたおかげで、いろいろとご批判もいただくし、売り上げ的にも大変なことも多いですが、それだけじゃなく良い影響も出てきているのかなと思いますね」

「一度宣言したらもう後戻りできない」

貫社長にとって、禁煙宣言は「大勝負だった」という。

「一番の地獄は、話題になった後に既存店売上が60%くらいまで激減して『やっぱり禁煙やめます』と撤退することじゃないですか。会社としての信用も失うし、社会から批判も浴びる。それを考えたら一度、禁煙を宣言したらもう二度と戻れない。本当に踏み切っていいのだろうかと悩んで夜も眠れませんでした。あんな思いはもう二度とごめんです」

売上高前年割れを受けて、愛煙家は「そら見たことか」と嘲笑し、嫌煙家は「禁煙を貫いてほしい」とエールを送る。目論見通り未来への投資として「全店禁煙」を続けていけるのか、注視していく必要がありそうだ。

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