新たに4店舗が喫煙専用ルームを設置

そんな中でプレジデントオンライン編集部が入手した情報によると、2019年に4店舗が喫煙専用ルームを新たに設置した。たしかに、串カツ田中の禁煙施策はもともとフロア分煙を含んでおり、全席禁煙実施後も全国273店舗(11月度月次報告)のうち、フロア分煙店が10店舗(東京都4、神奈川2、愛知2、三重1、広島1)存在している。それゆえ、串カツ田中の禁煙方針を報じる記事では「ほぼ全席禁煙」と記されていることがほとんどだ。

だが、禁煙実施時からフロア分煙を打ち出すのと、その後に新たに喫煙ルームを設置するのでは、少々わけが違うように思われる。

しばらく前にマスコミにチヤホヤされ、「年間200店舗の新規出店」という華々しい目標を掲げていた「いきなりステーキ」が業績不振から大量閉店へかじを切ったように、栄枯盛衰が激しい外食業界では苦境からの方針転換は決して珍しい話ではない。「串カツ田中」も既存店前年比88.1%という数字から、「全席禁煙」の方針をソフトに変更しようとしているのではないか――。

「今後分煙店が増えていくことはない」

この推測について串カツ田中の貫啓二社長を直撃したところ、あっさりと否定された。

「うちで今後、分煙店が増えていくことはありません。確かに、新しくつくったお店の中で喫煙ブースをつくったところもありますが、これはフランチャイズが運営する“大箱”で、『串カツ田中』の中でもかなり珍しいケースです」

撮影=プレジデントオンライン編集部
串カツ田中・貫啓二(ぬき・けいじ)社長

「串カツ田中」は基本的に小さなお店、いわゆる“小箱”が多い。ただしフランチャイズに関しては、複数階あってフロア分煙ができる大型店の場合などに限って、「分煙」を選択できるようにしている。しかし、昨今の外食トレンドでも“個性のある小箱”が人気で、“大箱”はこぞって苦戦しているため、このような“大箱”の店舗が今後どんどん増えていくとは考えにくいというのだ。

だが、それでもモヤモヤしたものは残る。伝えられるような苦境から、「分煙店を経営したい」という新規FCオーナーが増えたり、既存オーナーからも「喫煙可店へ転向したい」という声が多くなったりするのではないか。ただ、貫社長は「そのような可能性もない」と断言した。