頭を休ませる方法を探していた

【大嶋】メンタルヘルスのコンディショニングには、瞑想やマインドフルネスなどさまざまな手法がありますが、なかでも超越瞑想を選ばれたのはなぜでしょう?

【伊藤】それは、たまたまの出会いです。そのころ、ちょうど大嶋さんとお話をさせていただいて「それはあなた、瞑想よ!」と言われて、「ああそうか」と。(笑)

僕には長年、毎日その日の「振り返り」をするという習慣がありました。「散歩」しながらその日の出来事で得た情報や感じたことを頭の中で整理して、「日記」で振り返る。また、ヤフーで実践している「1on1」では1週間の仕事に関する振り返りをするわけです。

この振り返りは、ロジカルに思考を整理するので頭を使うわけです。だから、頭を休ませてメンテナンスするすべはないかと探していた。脳をポンッと取り出して掃除するような。それが超越瞑想ではないかと、必要性を感じましたね。

写真提供=かんき出版
「悩みや心配事を翌日以降に持ち越すことがなくなりました」と語る伊藤氏(右)。

【大嶋】超越瞑想では、20分の瞑想を毎日朝と夕の2回行うことを推奨しています。実践されてみて、いかがでしたか?

【伊藤】まさに脳を洗っているようなスッキリ感があります。消毒液にコンタクトを入れるようなイメージかな。1人で行うので人目も気にする必要がなく、100%解き放たれる。ただ解放されるだけじゃなくて、夜は一日のピリオドを打つという意味合いもあります。

実は、僕は意外とセンシティブで、以前は割と「あの案件、どうしよう、ヤバイな……」なんて考え込んだり悩んだりしてしまうようなところがあって。それが、瞑想によって一日を区切ってそこでリセットすることで、悩みや心配事を翌日以降に持ち越すことがなくなりました。昔は眠れないこともあったのですが、今は普通だったら眠れないような案件を抱えていてもスッと眠れる。

食生活との合わせ技で睡眠の質も向上

【大嶋】それは素晴らしいですね。睡眠の質は上がりましたか?

【伊藤】上がりました。ただ、これは瞑想の効果だけじゃないかな。というのも、近年、食生活を改善したんですよね。今まで50年近く野菜なんて食べたことがなかったのに、今は生野菜やサラダをボリボリ食べている。この食生活を始めて1カ月半くらいで体重も6キロほど減りました。朝はしっかり食べて夜はあまり食べないようにすると、朝は腹が減って自然に目が覚める。

睡眠の質の向上は、瞑想と食生活の改善、両方の要素によるものかなと思います。ただ、寝つきが良くなったのは明らかに瞑想のおかげですね。