意思決定が明らかに早くなった

【大嶋】超越瞑想を実践するようになってから、仕事における具体的な成果を感じることはありますか?

【伊藤】大きく2つあって、1つは、人前に出る仕事が続いても、精神的にあまり疲れることがなくなった。仕事柄、人前で話す機会が多くて、昨年は1年間で取材や講義、講演といった仕事が約300回もあったんです。毎回、ガーッとテンションを上げて、終わったらガクンと下げる、それの繰り返し。やっぱり疲れますよね。でも、瞑想でリセットすることで、人前で話すことに、今ではそれほどストレスを感じなくなっています。

もう1つは、意思決定が明らかに早くなりましたね。これは、頭がいつも“レディ”な状態になっているから。車でいうと、常にアイドリングのような感じです。

これはなぜかというと、瞑想して脳をリセットすれば、翌日に心配事を持ち越さないので心に余裕ができる。その反面、心に余裕がない状態というのは、まともに決断ができないわけです。そんな状態になることがなくなった。そこが明確に変わった点ですね。

必要と腑に落ちれば習慣化できる

【伊藤】ここ1年で、生活は明らかに変わりましたね。それは、瞑想、振り返り、食事が三位一体となってサイクルがうまくまわっているからだと感じています。大事なのは、実践のサイクルの中で「必ずここに戻ってくる」というポイントを意識して習慣化することなのかなと。結局、そういった習慣をどれだけ身につけられるか、それが人の成長を決める気がしますね。だから今、一日という単位をすごく意識して過ごしています。

【大嶋】瞑想を日々の習慣の中に組み込んで、より良く行動する、あるいは成果を出していくためのひとつのツールとして活用されているんですね。とはいえ、習慣化するのは大変で、三日坊主になりがちですが…。

【伊藤】何かを習慣化させようというときに失敗するのは、モチベーションに頼るから。だって、「さあ、モチベーション上げて歯を磨こう」なんて人いないでしょう。そうじゃなくて、淡々と日々の生活の中に組み入れることが重要なんですよね。

そのために大切なのは、「これは、自分にとって必要だ」と思えるかどうか。歯磨きだって最初は親に言われてイヤイヤやっていたかもしれませんが、今ではやらないと気持ちが悪い。それは歯磨きが自分にとって必要なことだと腑に落ちているからでしょう。

瞑想や振り返りって、面倒くさいとか時間を確保するのが大変だと思うかもしれませんが、自分にとって本当に必要なものだと思えるなら、意識するだけでその時間は生み出せるんですよね。