みんなの党 代表 渡辺喜美(わたなべ・よしみ)

1952年、栃木県生まれ。父である、故・渡辺美智雄氏の秘書として活躍後、96年衆議院初当選。2006年、行政改革・規制改革担当大臣に就任。07年、金融・行政改革担当大臣。09年、自民党を離党。8月に新党「みんなの党」を立ち上げ、衆議院選に臨む。


 

「われわれが小なりにも衆院で議席を獲得したら触媒となり政界再編の動きが起こる」。8月5日の新党「みんなの党」結党会見で、代表の渡辺喜美・元行政改革相(57歳)はそう述べた。奔放な物言いは容貌とともに父・美智雄譲りで有権者からは人気だが、永田町ではこの会見に失笑した者も少なくない。というのも、この新党結成に馳せ参じた面々を見れば、「およそ選挙に勝てない小物ばかり」(永田町記者)で、結党時の人数も最低限必要な5人にとどまった。

渡辺氏は1月13日に自民党を離党して以来、ヨミをはずし続けている。自民党に嫌気がさした改革派の若手、中堅議員が続々と離党してくると想定していた。首長や地方議員を味方につければ麻生政権に揺さぶりもかけられる。だが、連携を打診した橋下徹知事にはあっさり振られ、離党者もほとんどなかった。さらに民主党の勢いはとまらず単独過半数獲得が射程距離に入った。新党がキャスティングボートをにぎるスキなどない。

1995年、父・美智雄の死により栃木3区の地盤を継ぎ翌年の衆院選で自民公認候補として初当選した。早稲田大学政経学部出身で経済・金融政策で私案を発表し政策新人類と話題になった政策通である。安倍、福田内閣で行政改革担当相として公務員制度改革基本法案に取り組み、曲折をへて成立したときの記者会見で感涙を見せたことからも察せられるように熱い男でもある。

テレビでの露出度も高く地元の人気も根強く、選挙では圧倒的強さを見せるだけに、派閥におもねらずに生きることができる「一匹狼」といわれる。だが、政界で大事をなすために最も必要なのは組織力と嗅覚。渡辺氏が政局後の真のキーマンになるにはまだ越えねばならない課題がありそうだ。