わかってくれない人たちに怒鳴り散らすのではなくて、自分からその人たちをわかろうとする。もし、「わかってくれない奴はいらない」と切り捨ててしまえば、戦力は半減でしょ? でも、わかってくれない人たちをチームに加えてみたら、30%くらいの力なら出してくれるかもしれない。そしてもし、わかってくれている人たちが100%の力を出してくれたら130%の結果が出せる。会社はわかってくれない人たちにもペイしているわけだから、働いてもらわないのはもったいない。

さきほど申し上げた、囲碁をたしなむような方は、勝つためのルール、定石をたくさんご存じです。だからこそ、ビジネスにおいても一つの勝ち方に固執しない。何十年か後に勝つことさえできれば、今日明日の勝敗にこだわらないところがあります。

ときに撤退することは、決して敗退ではありません。負けるにしても明日につながる負け方をすればいいんです。何ものぞみのグリーン車に乗ることだけが、大阪へ行く方法じゃないでしょう。ひかりやこだまの自由席だって、大阪にちゃんと着きますもの。むしろお弁当をゆっくり食べて、窓からの景色を楽しみながら旅をした人のほうが、いろいろな素養が身につくことだってあるかもしれないですよね。

「この道一筋」だけでは、時代についていけません

実際に成功した方は、本当にいろいろな経験を積んでいるもの。今までは「脇目もふらずこの道一筋」というタイプが出世してきました。でも最近はそうでもない。極端な専門職でもない限り、これだけ世の中が複雑に多様化する中、いろいろなことに興味を持って、回り道や寄り道をいっぱいしていないと、時代が何を要求しているかわからないと思うのです。だから新聞や雑誌やインターネットなど二次的な情報だけでなく、扉を開けて表に出て、自分の足を運んでみるということは重要です。

「ふたご屋」にいらっしゃるお客様は、ある程度の成功を収めた方がほとんどです。本当に馴染みの店に電話一本で席を用意されるような方ばかり。ところが群を抜いて伸びている方に限ってミシュランに載っているお店のこともよくご存じです。やはり生の情報量が格段に違うのだと思います。今はまだ若くてお金がない方でも、たまには自己投資の意味で高級なお店に行かれてみてはいかがでしょう。

お店で見ていても、一番魅力的なのは、ミシュランの店からサイゼリヤの100円ワインまで自然体で楽しめるような人。何か気に入らないところがあると感じても文句ばかり言うのではなく、それを逆手にとるくらいで部下や女の子も巻き込んで楽しく遊んでくださる方。こんな方には男の余裕が感じられますね。