東京中央カウンセリング代表 
塚越友子 

東京女子大学大学院で社会学修士号取得。「うつ」になったことをきっかけに銀座の世界へ。2008年に東京中央カウンセリングを独立開業。

私が銀座のクラブで学んだ気配りは「お客さまを見て、何を欲しているのか、何が足りないかがわかったらすぐ行動する」ことです。話の輪のなかに入る、水割りをつくる……。ぐずぐずしていると、ママから灰皿が飛んできました。

気の利かないホステスの共通点は「注意のポイントが自分に向いてしまっている」ことです。たまに、お客さまが手に持っているグラスを奪うようにして水割りをつくる子がいます。しかし、お客さまは楽しんでいた会話を中断されてしまいますよね。結局、それは「私、仕事しなければ」と自分に気が向いたまま出てきたアクションなのです。

また「すぐに行動しなさい」ということを実践できるかどうかでも、お客さまの印象は変わります。額に汗を浮かべたお客さまに「暑いね」といわれてからオシボリを出すようでは、「いまごろ気がついたの」と思われてしまいます。額の汗を見て、さっとオシボリを差し上げる。お笑い芸と一緒で、気配りも一瞬芸で、タイミングが命です。

以前、同伴した実業家のお客さまと料理屋さんを出たら小雨が降っていました。道路のすぐ向こう側にタクシーが待っていたのですが、バッグのなかにあった折りたたみ傘を差してあげました。たったそれだけのことです。でも、お客さまはとても喜ばれ、次からは必ず指名してくださるようになりました。

お客さまが何を欲しているのかを知るためには、お客さまをよく観察してどのような方なのかを理解することがとても大切です。初対面のお客さまの場合、私は15分ほど自分からはなるべく話しかけずに、しぐさや周囲のホステスとの会話などから情報を集めて、どんな人なのかを判断するようにしています。