そのとき役立つのが、これまで学んできた心理学やカウンセリングのスキルです。たとえば、人を200~300タイプに分けるプロファイリングという手法があります。腕や脚の組み方といった非言語の部分も観察しながら分析します。そこで「周囲の人間は自分のことを知っていて当然」という自信に溢れた方だとわかれば、「お客さまのお話をお姉さんたちからよく伺っています」と声をかけます。

プロファイリングをマスターするのは時間もかかって大変なので、読者の皆さまは人の感情が表情に出ることを覚えておくといいでしょう。たとえば、受け手が不快に感じると、眉間が寄ったり、片方の口元が下がったりします。特に口元の片方だけが引きあがるなど、左右アンバランス型の表情はネガティブ感情の表れと考えられます。

それとオススメなのが、テレビのニュース番組の活用です。2分ほどアナウンサーをじっと見た後、テレビを消して、どんな服装だったか、どういったお化粧をしていたかなどを書き出します。そして、再びテレビをつけ、答え合わせをします。何度も繰り返していると、目の前の相手を無意識のうちに観察する癖がついているはずです。

これまで数多くの経営者、ビジネスマンの方々とお会いしてきました。そのなかで成功している人は気配り上手な方々でした。取引先の接待や部下の慰労であれば、自分のお酒は控えめにして相手を楽しませ、頃合いを見計らって「後はよろしく」と先にお店を出ていかれます。

皆さんトイレの使い方がとてもきれいなことにも驚かされます。洗面台の周りをきちんと拭き、後から入ってきた人が気持ちよく使えるようにされています。そういう方々だから取引先から信頼され、部下からは頼りにされているのでしょうね。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=伊藤博之 撮影=若杉憲司)
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