圧倒的な価値は作ることができる

現在エクスぺリサスでは、日本国内で外国の富裕層を取り込みたいという自治体、企業とともに体験コンテンツを作成し、海外の富裕層ネットワークとつなげるといったビジネスを展開しています。

上記の事業を進めるにあたって分かったことは、富裕層にとっての「圧倒的な価値」は偶発的ではなく、自発的に作れるということです。世界中の観光資源と相対比較して「ここでしかできない」体験素材を見極め、「体験価値の設計」を緻密に行うことで、「圧倒的な価値のプラン」を作ることができます。

観光資源が十全ではないと思われているエリア(たとえば今後過疎化するエリア)でも、地産地消をベースにしたポップアップレストランや、自然を生かしたべニュー(場所)と伝統芸能との連携など、「文化の掛け算」を通じて体験価値を最大化することができます。

また「資源」ではないのですが、企業が保有している「資産」とのコラボレーション事例も増えはじめています。弊社がアクセラレータプログラムを通じて協業している竹中工務店との事例では、彼らが保有している歴史的建造物(いわゆるユニークべニュー)を活用し、2020年以降、今までにない文化的、かつ特別な体験コンテンツとして提供を開始する予定です。

これはクライアントの企業側からすると、既存リソースを有効活用した新規事業の創造になります。これからの時代に即したビジネスモデルを考えたとき、人口減少が進む中で継続的な人口増加が見込まれるインバウンドをターゲットにすることは、極めて有効な施策だと考えています。

国や企業が本当に投資すべき領域

今、日本は観光産業に大きな舵を切っています。飛行機の離着陸数増加、ホテル数の急増、体験コンテンツの増加と、観光立国としての整備が急速に整いつつあります。しかし、富裕層向けの体験コンテンツプロバイダーの数、そしてユニークな体験コンテンツの数が圧倒的に不足していると実感しています。需要と供給が釣り合っていないのです。

JNTO(日本政府観光局)の調査によると、全旅行者のうち1%の富裕層が旅行消費全体の13%の消費を行っており(消費額単価は一般訪日客の約9倍)、圧倒的にコストパフォーマンスがいいといわれています。

また一部の富裕層に人気になったコンテンツが、一般マス層の憧れとなり数年後には広く世の中に知れわたるため、富裕層旅行の成功コンテンツが次の旅行トレンドを生み出すという循環が生まれつつあります。

ポテンシャルのある領域に、国、自治体、企業はもっと注目し、投資をしていくべきです。ユニークな体験を富裕層領域で数多く作ることが、観光立国としての地力につながると考えています。

【関連記事】
「渋谷、新宿、池袋」に外国人がわざわざ来る理由
ファーストクラスの女性は何が一番違うか
セブンが勝てない「最強コンビニ」の秘密
"商社マン妻"まさかの下流転落の恨み辛み
お金のプロが"お酒だけはコンビニ"で買うワケ