海外富裕層向けコンビニ飯のフルコースを初公開
さらに彼は「コンビニの中でも、よく売れている商品でコースを作ってほしい」と念を押します。私はセブン、ファミマ、ローソンなど大手コンビニの売れ筋商品ランキングを収集し、友人のシェフにも電話で話を聞いてコースとして成立するようにして、四苦八苦してどうにか完成にこぎつけました。
・スパークリングワイン(「フレシネ コルドン ネグロ ブリュット」「マルティーニ アスティ・スプマンテ」)
・オードブル(「パストラミビーフの雑穀ボウルサラダ」「スパイシーチキンと玉子のチョップドサラダ」「ファミマプレミアム肉まん」「4種具材の極上肉まん」、生ハム)
・スープ(「オニオングラタンスープ」「北海道じゃがバターポタージュ」)
・パン(「金の食パン」)
・白ワイン(「デスパーニュ Blanc 白」「甲州クヴェヴリ」)
・魚料理(「お母さん食堂 さばの塩焼き」「サバの味噌煮缶」)
・赤ワイン(「シュヴァリエ・ド・ランシュ 2015」「バロン・ラ・ヴェリエール 2015」「ラ・シャルトリューズ・ド・セナック 2015」)
・肉料理(「ファミチキ」、焼き鳥)
・締めのおにぎり(「手巻 シーチキンマヨネーズ」「新潟コシヒカリおにぎり『極』神戸牛すき焼き」)
・デザートのあんまん
・最後は挽きたてのドリップコーヒー(「セブンカフェ」)
さらにただ提供するだけでなく「シャンパンは山梨県産です」「この肉まんは○○牛100%です」といったストーリーもくわえてホテルで食べてもらいました。その結果、「あなたたちのおかげで貴重な体験をすることができた。本当にありがとう」と非常に喜んでもらえました。
彼らの求める「体験」は私たちの日常生活にこそヒントがあるのです。
ゴールデン街>ネオン街の法則
同じように海外富裕層が日本に何を求めているかが分かる、象徴的な事例があります。
当社では、海外富裕層向けに「新宿ディープツアー」という夜の新宿バーホッピング体験プランを独自につくって提供しています。
ツアーでは、新宿歌舞伎町からゴールデン街までをカバーしています。しかし、欧米のお客さまからのフィードバックでは「ゴールデン街でもっと楽しみたい」といわれることが圧倒的に多かった。
最初はたまたまだと感じていましたが、あまりにも連続して「ゴールデン街が良かった」といわれるので、次第に何か理由があるのではないかと思うようになりました。
ある日、イギリスから来たお客さまに対して「なぜゴールデン街のほうがいいのですか?」と聞いてみると、「ネオン街(新宿歌舞伎町)は世界中どこにでもあるけど、ゴールデン街のような場所(昔からある古風なBAR)は、東京のこのエリアにしかないでしょ。ストーリーがあり、歴史があり、小さいけどユニークネス。だからこっちでいいんだよ」と即答してくれました。
富裕層が旅行に求めるのは、世界中の「ユニークな観光資源」です。その彼らが、たとえばニューヨーク、ロンドン、香港と比較して、日本でしか味わえない体験として導き出した結論が「ゴールデン街>ネオン街」だったのです。