年1回、3日間の断食で「最高の気分」

――それは、白鵬関の勝負どころでの仕掛けの速さと重なるもの?

どうなんでしょうね。ただ、いろいろと調べてみると、心も体も反応のスピードは速いそうです。体のメンテナンスで10年近く鍼を打ってもらっているんですけど、体の反応が普通じゃないって言われる。鍼が折れてしまうんです。だから、先生はポンポンと鍼が打てず、汗だくになってしまう。「こんな人は見たことがない」って。

――今、34歳ですけど、長く頂点に君臨している秘訣はメンテナンスにもありそうですね。

年齢的に衰えたな、という感じは全然ありません。細胞レベルでも元気が漲っているそうです。腕の筋肉を切ったときは、再生医療でほぼ完治しました。医者が「普通は完全には治らないケガだけど」と首を傾げた。それで遺伝子検査をやってみると、ストレスに強いとかガンになりにくいとか、様々なプラスのデータが出てきました。

――そこに、日々のメンテナンスが加わるわけですね。

もちろん食事にも気を配ります。野菜をたくさん食べます。色の濃い野菜には抗酸化作用が豊かです。それに断食もするしね。

――力士が断食ですか?

そんなお相撲さん、いないよね。食べることも稽古のうちだから。稽古放棄だ(笑)。

――内臓を休ませるのが目的ですか。

そう、リフレッシュ。細胞が若返る。やるなら徹底してやりたいから、3日間、なにも食べない。準備と回復にも時間をかける本格派です。いつも決まって13キロほど体重が落ちます。気持ちも軽くなって最高の気分です。

――定期的にやるんですか?

年に1度。季節は決まってないけど、休場したときとか。ケガをすると薬を飲むでしょう。そうやって溜まった毒を出す意味もあります。

――力士には豪放磊落、鯨飲馬食というイメージがありますが……。

昔はそうだったみたい。だけど、気をつけないと体を錆びつかせる悪い食べ物もあるから。今はみんな食事への意識は高いですよ。健康情報もきちんとしているし。

――食事面でもリーダーなんですね。

断食、今後はトレンドになるかもしれませんよ。引退して親方になる人はやったほうがいい。戦わない人は太っていないほうがいいでしょう。人としてのメンテナンスです。