遊ばなかった子は、5年生で伸び止まる

遊ばない子供は発想力が乏しい。親に言われたことしかできないし、塾から習ったことしか解けない。そういう応用力のない子は、いつかどこかで壁にぶつかる。幼い時から習い事をたくさんやってきた子は、中学受験では4年生の基礎学習まではなんとかなる。だが、5年生以降に応用力が求められるようになると、そこで伸びが止まる。

幼い時からたくさんのお金を教育に投資してきたのに、成績がまったく上がらない。むしろ、下がっていく一方となった時、教育熱心な親はさらに量を増やす。そして、自分の思い通りにいかない子育てにイライラする。

実は、母親が不機嫌な家の子供は、成績が伸びにくい。小学生の子供にとって、母親は誰よりも大切な存在だ。その母親が自分のことでイライラしていると、子供はどうしていいのかわからなくなってオロオロしてしまう。幼い子供にそうさせてしまうことも、教育虐待だと思う。

言葉で責める「努力で成功した」父親

教育虐待に走るのは、母親だけではない。中学受験といえば、ひと昔前までは母親と子供の二人三脚と言われてきた。ところが今は、共働き家庭が増え、教育熱心な父親も増えている。

教育虐待に走る父親には2つのタイプがある。一つは言葉で責める父親、もう一つは過剰な管理をする父親だ。

言葉で責めるタイプは、自分に成功体験がある父親が多い。俺は学生の時に必死に努力をして勉強をした。だから、一流の大学にも入れたし、一流の企業にも就職できた。自分ができたのだから、わが子にもできるだろうと自己投影してしまうのだ。特に息子に対してその傾向は強い。

「何で分からないんだ!」
「俺が子供の時はこんな問題は簡単に解けたぞ」
「成績が上がらないのは努力が足りないからだ」
「俺の子ならできるはずだ」
「俺の子とは思えない」

その口調が強くても、冷静でも、冗談っぽくっても、何度もそれを聞かされる子供にしてみれば、うれしいものではない。相手が嫌だな、つらいなと思った時点で、それはもう立派な教育虐待になる。