韓国はアメリカの言動に敏感になっている

ここでアメリカがGSOMIA継続を求めて韓国を揺さぶっている状況を利用しない手はない。

アメリカの動きに合わせ、韓国に適切な対応を求めるのだ。できればアメリカにそれを言わせることである。その言葉は遠回しで構わない。水面下の調整的な発言でもいい。

安倍首相とトランプ米大統領と親密さは、文氏もよく知っている。韓国はアメリカのちょっとした言動に敏感になっている。効果はあるはずだ。

12月下旬には中国で日中韓の首脳会談が行われる。中国の習近平(シー・チンピン)国家主席が顔を出すと、話がこじれる。日本政府はそれまでに日韓改善の糸口をしっかりつかんでおきたい。

韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長は10月5日、東京都内で講演し、「徴用工問題の解決に向けた新たな立法措置を検討中だ」と明らかにした。日韓両国の企業や韓国政府が関与する基金を設立し、元徴用工らへの賠償を肩代わりさせる案だというが、「韓国側が国内問題として解決すべきだ」との日本政府の原則から外れる。

ちなみに文議長は、慰安婦問題を巡って「天皇陛下の謝罪が必要だ」との今年2月の発言について、「日本の方々の心を傷つけた。申し訳ない」と陳謝した。当然である。なぜもっと早く謝罪できなかったのか。

日韓関係の悪化は北朝鮮を喜ばせるだけだ

「不信感を深めていた両首脳が、ようやく向き合ったことは一歩前進だ。日韓関係は元徴用工問題に端を発し、極度に悪化した。これを、本格的な関係改善につなげてほしい」

こう冒頭部分で書くのは、11月6日付の毎日新聞の社説だ。

毎日社説は「まずは、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が継続されるように外交努力を急ぐべきである」と主張し、次のように指摘する。

「GSOMIAは、日米韓3カ国による安全保障協力の象徴的な枠組みである。協定の締結により、北朝鮮問題での3カ国間の情報共有がスムーズになったといわれる」

「北朝鮮は協定の破棄を韓国に迫っていた。実際に破棄された場合、日本との安全保障協力の見直しに向けて韓国への圧力を一層強めることが予想される」「そうなれば、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決はさらに困難になろう。中国とロシアを利するとの指摘もある」

日韓関係の悪化は北朝鮮を喜ばせることになる。同様に中国とロシアも陰に陽にと、恩恵を受ける。韓国にはそこを十分理解してほしい。