安保と経済を一緒にする韓国の主張には無理がある

さらに毎日社説は指摘する。

「ただし、日本が輸出規制を撤回すれば、GSOMIAの破棄決定も取り下げるという韓国の主張には無理がある」

毎日社説が指摘するように、韓国の主張はどこから見ても「無理」なのである。韓国は感情的になっている。

「確かに、日本が輸出規制を発表した際、元徴用工問題への対抗措置との認識を示唆したのは不適切だった。日本が歴史問題と通商政策を絡めるべきではなかったのと同様に、韓国も経済問題と安全保障政策は切り分けて判断するのが筋だ」

「歴史問題と通商政策」「経済問題と安全保障政策」。やはり、次元の違う2つを一緒にして論じるところに大きな無理が生じるのだと沙鴎一歩も思う。

毎日社説は韓国の反発を「感情的もつれ」とみなす。

「韓国が輸出規制に強く反発するのは、『植民地支配を受けた被害者が、なぜ加害者である日本に報復を受けるのか』という感情的なもつれがあるためだ」

「融和ポーズに騙されるな」と産経社説

次に産経新聞の社説(11月6日付)を読んでみよう

「日韓関係 融和ポーズに騙されるな」という見出しからして嫌韓調である。

書き出しも「『徴用工』判決問題をめぐる韓国の文在寅大統領や文喜相(ムン・ヒサン)国会議長の最近の言動を見ても、対日関係改善の熱意は薄いと思わざるを得ない」と韓国政府に手厳しい。

「一歩前進」とする毎日社説とは大きく違う。おなじニュースを取り上げても新聞社によって社説の内容は異なる。そこが社説を読み比べるおもしろさである。

産経社説は訴える。

「両首脳は訪問先のタイ・バンコク郊外のホテルで11分間言葉を交わした。着席しての対話は1年1カ月ぶりだ。持ちかけたのは文大統領だが韓国側が非を改めるという表明はなかった。単なる融和のポーズに騙されてはならない」

「韓国側が非を改めるという表明はなかった」とまで指摘するが、その根拠はどこにあるのだろうか。