反体制派に対する締め付けを強化するプーチン政権
プーチン政権が反体制派に対する締め付けを厳しくしている。ロシアの捜査当局は10月15日、弁護士出身で有力な政治活動家でもあるアレクセイ・ナワリヌイ氏の支持団体に対して、資金洗浄の疑いがあるとして強制捜査に乗り出したと明らかにした。当然、ナワリヌイ氏は事実無根として政権の対応を批判した。
ナワリヌイ氏はこの夏、プーチン政権に抗議する集会やデモを呼びかけ、8月の集会には5万人以上が参加した。長期化する景気の低迷や強まる社会の閉塞感を受けて、プーチン政権に対するロシアの有権者の不満は日に日に溜まっている。政権側は警戒感を強めており、それが反体制派に対する引き締めの強化につながっている。
これまでプーチン政権を支えてきた農村部の保守派の支持離れも懸念されている。マンネリズムの広がりに加えて、景気低迷下でも都市部と農村部の所得格差が着実に拡大しているためだ。これまで反体制派は都市部の中間所得者層を中心としていたが、その動きが農村部まで広がる可能性があることを政権は警戒しているわけである。
プーチン大統領は、2000年の大統領就任以降、途中で首相に転じた時期もあるが、一貫してロシアの最高権力者の座に君臨している。その政権運営は権威主義的に行われており、プーチン大統領に協力的な政治家や企業家は富を得ることができる。一方で批判的な立場を取れば容赦なく排除されてしまうシステムがロシアでは形成されている。