若い女性が「パパ」と呼ばれる男性とデートをして、その見返りとしてお金をもらう「パパ活」。もしパパ活で自分の体を提供したのに、「パパ」が対価を払わず逃げてしまった場合、罪に問うことはできるのか。弁護士の理崎智英氏は「民事は難しいが、刑事での判断はわかれる」という――。
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安易な「パパ活」もれっきとした売春行為

最近、男性と食事をしたり、デートしたりする代わりに、男性から、その謝礼として、現金やブランド物の財布やバッグ等の対価をもらう、という活動をしている女性が増えているようです。そのような活動あるいはそのような男性を探すための活動は、「パパ活」などと呼ばれています(なお、若い男性を年上の女性が援助する「ママ活」という活動もあるようです)。

スマートフォンの普及により、マッチングアプリやマッチングサイトなどで簡単に相手を探すことができ、手軽にお金が手に入るということで、特に若い層を中心に「パパ活」をする女性が増えています。

さらに、女性の中には、自分の体を提供する代わりに、男性からその対価として数万円をもらう、という内容のパパ活までしている人もいます。少し前までは「援助交際」(援交)と呼ばれていました。

気軽にお金を払ってもらえるから、という安易な考えでパパ活をしている人もいるかもしれません。しかし、自分の体を提供する代わりに相手からその対価をもらうという行為は、「売春行為」であり、売春防止法に違反する違法な行為です。

そして、売春防止法は、売春をする目的で、「公衆の目にふれるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘すること」を禁止しており、違反者には6カ月以下の懲役または一万円以下の罰金に処せられます(同法5条1項1号)。

そのため、インターネットやSNS等の「公衆の目にふれるような方法」で、女性が体の提供をする代わりに対価を得ようとして、相手(パパ)を募集することは、上記要件に該当することになりますので、刑罰に処せられる可能性があるということになります。