コルチゾールは、起床時刻の3時間前から分泌され始め、1時間前に急激に増えて、起きる準備が整うように起床準備をするホルモンです。夜中に目覚めて時計を確認すると、翌日からは、その時刻に向けて分泌され、起きる準備を始めるようになってしまいます。

寝室に時計を置くのはかまいませんが、ベッドから見えない場所に置いたり、目覚まし時計を伏せておくなどの工夫をするとよいでしょう。夜中に起きたときも、時計は見ないようにします。

併せて「自己覚醒法」も行います。寝る前に「明日は朝○時に起きる」と、起床時刻を3回唱えるというものです。これを行うだけで、コルチゾールが起床時刻に向けて分泌されて起きる準備ができます。

もし夜中に目が覚めたりしても、「○時に起きる」と寝る前に決めた起床時刻を3回唱えましょう。すると、脳のプログラムは書き換えられるので、続けていけば夜中に目が覚めることは減っていくはずです。

▼解決策:時計は見ずに起床時刻を3回唱える

【お悩みタイプ3】早く目覚める

高齢になると、一日の長さを決める役割を持つホルモンのメラトニンが減少します。これが減ると、睡眠時間はどんどん早いほうにずれて、早寝早起きになります。

ところが多くの人が「睡眠時間は長いほうがよい」と思い込み、「もっと寝なければ」と、就寝時刻を一層早くしてしまいます。その結果、さらに起床時刻が早くなってしまいます。

対策は「遅寝遅起き」をすることです。

そのときのコツは「30分単位で遅らせる」こと。1度に1時間以上就寝時刻をずらしたりすると、睡眠が途切れたり、睡眠の構造が変化して寝付けなくなったり、夜中に目が覚めてしまったりしやすいのです。

いつも夜9時に寝る人でも、30分だけ頑張って9時半に寝ることはできるはずです。睡眠のリズムはだいたい2週間で固定するので、2週間ごとに30分ずつ就寝時刻を遅らせて遅寝遅起きにしていきます。

「8時間は眠るべき」など、理想の睡眠時間があると信じている人はたくさんいて、5時間睡眠で自分の体調が良くても、何とかして8時間寝なくてはならないと考えてしまいます。しかし、そもそも早寝早起きで体調に問題がない人は、無理に睡眠時間をずらして遅い時刻に起きようとする必要はありません。

睡眠は「目的」ではありません。休息を取り、自分のコンディションを良くするための手段です。早寝早起きでも、遅寝遅起きでも、自分のコンディションが良ければそれでいいのです。

一方で、不調を感じていて、それを解決するためであれば、自分の都合で早寝早起き、遅寝遅起きの、どちらにずらしてもかまいません。

▼解決策:30分単位で遅寝遅起きにシフト