なぜ車の運転を見ると、その人の性格が分かるのか

車の運転を見ると、その人の性格がよく分かるといわれる。

運転の基本は、車の流れにうまく乗ることだ。特に高速道路ではそれが大切になる。自分ひとりで走っているわけではない。同じ道路を他の車といっしょに走行しているのだ。他の車の速度や進む方向などを観察しながら、適切な車間距離を保つ必要がある。

だが、車中という密室では、運転者は独りよがりになりがちだ。しかも運転ひとつでかなりの距離を短時間で移動できるから、気が大きくなってしまう。

ウォルト・ディズニーの短編アニメ映画にこんなのがあった。

まじめで地面のアリも踏まないように歩く優しい人物が、いざハンドルを握ると、鬼のように恐ろしくなって交通ルールを無視して周囲の車を蹴散らすような乱暴な運転をして事故を起こしてしまう。

これはアメリカで1950年6月に公開された「Motor Mania」(邦題「グーフィーの自動車狂時代」)というアニメで、ディズニーのキャラクター「グーフィー」が、ウォーカーさんという車好きの主人公を演じていた。

ハンドルを握ると、豹変するという車社会の弊害を見抜いており、いま見ても新鮮な社会風刺である。宮崎容疑者にぜひ見てもらいたい作品だ。

まったく別の人物が「容疑者」とされるデマ騒ぎも

ささいなことで激高してしまうというのは、宮崎容疑者だけではない。日本社会そのものにも、そうした風潮があるのではないか。

ネット上には宮崎容疑者だけでなく、同乗していた喜本奈津子容疑者(51)をめぐっても、激しい罵倒が書き込まれている。同乗女性については、まったく別の人物がネット上で個人情報をさらされるデマ騒ぎも起きた。

あおり運転の事件からはそれるが、たとえば政治家の不倫問題も似た構図ではないか。2年前、『週刊文春』はトップ記事のリードでこう書き上げた。

幹事長内定の夜、彼女は都内の高級ホテルに密かにチェックインした。部屋で落ち合ったのは、赤ワインとビールを手にした妻子ある弁護士」(『週刊文春』2017年9月14日号<山尾志桜里(43)イケメン弁護士(9歳下)と「お泊まり禁断愛」>)