AI兵器使用の「国際ルール」に拘束力なし

AI(人工知能)を搭載し、自らの判断で攻撃する兵器「自律型致死兵器システム(LAWS)」の是非が大きく問われている。

AI兵器を規制する国際会議がスイス・ジュネーブで行われ、8月22日に報告書がまとまった。報告書はAI兵器の使用についての初の国際ルールとなる。

写真=EPA/時事通信フォト
2013年8月14日、米国の展示会に出品された「ロボット兵器」(アメリカ・ワシントン)

国際ルールができたこと自体は一歩前進である。だが、ルールには拘束力がなく、AI兵器開発の歯止めにはならない。報告書には次のことが盛り込まれた。

①攻撃の判断は人間が責任を持って行う
②機械のロボットが自動的に標的を選んで人を殺傷することは認めない
③開発や使用をめぐっては国際人道法を順守する
④来年から再来年にかけて再び会議を開いてルールに関する議論を深める

AI兵器の開発を推進するアメリカやロシア、イギリス、韓国、イスラエルなどの国と、法的な拘束力のある規制を求めるオーストリアやブラジル、チリ、アフリカなどの国との間で大きな溝ができている。

日本は「AI兵器を開発しない」との立場に立ち、規制には「国際的に対立した状態では実効性のある法規制は難しい」との判断を示している。