それほど日本社会が激高するような問題なのか

彼女とは元民進党政調会長の山尾志桜里衆院議員(現・立憲民主党)のことだ。東大法学部卒の元検察官で、「小沢ガールズ」の1人として政界入りし、待機児童問題で安倍政権を追及してその名を上げた。山尾氏はこの記事が出てすぐに民進党を離党した。

山尾氏の不倫問題は同年9月9日付の産経新聞と東京新聞の社説でも取り上げられた。それだけ社会的インパクトが強かったのだろう。

あのころ、今井絵理子氏、宮崎謙介氏、中川俊直氏と週刊誌による政治家の不倫報道が続いた。不倫は問題だ。だが、それほど日本社会が激高するような問題なのだろうか。それよりも政治家としての勤めを果たしているかを検証すべきなのではないか。

沙鴎一歩はそう考えたが、「不倫を許す」という寛容さや余裕が社会全体からなくなっているように感じた。宮崎容疑者の「あおり運転殴打事件」に対する過熱ぶりをみるに、その思いはさらに強まっている。

「法律で取り締まれ」と主張するばかりでいいのか

新聞社説はこの事件をどう論じているか。

「あおり運転は、重大な事故につながりかねない危険な行為だ。取り締まりを徹底するとともに、一人ひとりの身を守る心がけが欠かせない」

読売新聞(8月22日付)に掲載された社説の書き出しだ。見出しは「あおり運転逮捕 取り締まり徹底で抑止したい」。書き出しも見出しも、あまりに当然という内容で、読者への訴求が弱い。

読売社説は「あおり運転は、神奈川県の東名高速で2017年、追い越し車線に停車させられた車がトラックに追突され、夫婦2人が死亡した事故を契機に社会問題化した。事故を受けて、警察庁は積極的な摘発を全国の警察本部に指示した」と書き、こう訴える。

「警察は現在、無謀な運転に対し、道交法のほか、危険運転致死傷罪、刑法の暴行罪や傷害罪などの適用に努めている。あおり運転の抑止には、あらゆる法令を駆使した取り締まりが肝要だ」

読売社説によれば、「昨年中に、道交法の車間距離保持義務違反で摘発されたあおり運転は1万3000件で、前年の1.8倍になった」という。

法律で取り締まれと主張するばかりでなく、あおり運転が増えている原因についての解説と、それに対する解決策の提案が読みたい。