「芸人さんたちを第一に考えて働くことができなかった」

SNSも例外ではなかった。批判するつぶやきを見つけられなければ、左遷されることもあったという。

「ただ監視業務をするにあたって、気をつけなくてはならないこともあります。闇営業やSNSでの会社批判を見つけたら、呼び出して注意する前に、その芸人さんが松本人志さんに可愛がられているかどうか調べないといけないのです。

なぜなら、(松本さんと仲が良い)彼らを呼び出して小言を言えば、すぐに告げ口されて、『問題のあるマネージャーがおる』と松本さんや社長に伝わってしまう。すると社員のほうが飛ばされてしまうこともあり得るのです」

社内の会議室に盗聴器が仕掛けられているといううわさもあるそうだ。これでは本音をいう相手もいなくなる。

「会社は『芸人ファースト』と言いながら、芸人さんたちを蔑ろにしており、私も闇営業の監視などやりたくもない仕事をさせられ、芸人さんたちを第一に考えて働くことができなかった。

これが『日本一のお笑い企業』を標榜する会社のまったく笑えない実情なのです」

なぜ吉本はあの岡本社長を切ることができないのか

私が会った吉本興業の関係者もこう話してくれた。

「岡本の5時間半に及ぶ記者会見で世間は全く社長に価しない人物がその座にいることを知ってしまった。にもかかわらず、なぜ吉本はあの岡本社長を切ることができないのか。

オーナー一族でも何でもないサラリーマン社長だ。あのような人物が社長になったことも、そして会見後に続投することも、この規模の会社では違和感がある」

そう憤って、こう続けた。

「それは大崎会長に岡本社長を切れない理由があるのでしょう。岡本社長に会見をやれと指示したのは大崎会長です。前日からよってたかってのリハーサルをやったにもかかわらず、あの体たらく。

だが、何も決定的なことはいうなともいわれていた。会見場の裏手から岡本社長に指示していたが、はっきりしたことがいえず、あのようにしどろもどろの会見になってしまった」