芸人を消耗品のようにこき使い、パワハラで社員も脅す

ここでも指摘しているが、「エージェント契約」というのは、アメリカの俳優や芸人、作家たちがやっている契約形態だが、「経費もタレントの自己負担、不祥事を起こしたときもすべてタレントの自己責任となる」(LITERA)のである。

「エージェント契約の場合、吉本が本気でサポートしてくれるのか、という問題もある。現状でも、タレントに任せきりという傾向の強い吉本のこと、エージェント契約のタレントのために熱心に仕事を取ってきたり、ギャラ交渉をしたりするとはとても思えない。結局、タレントはテレビで仕事をするためのみかじめ料として、エージェント料を吉本にピンハネされているだけ、ということになりかねない」(同)

大崎・岡本は、宮迫を追い出して明石家さんま預かりにし、うるさい加藤浩次にはエージェント契約という餌を与えて黙らせ、改革は完了しましたとするつもりなのであろう。

そうなれば、芸人を消耗品のようにこき使い、パワハラで社員も脅す「吉本残酷物語」が“再上映”されるだけではないのか。

「吉本のドン」である松本人志の真価が問われている

最後に、朝日新聞(8月16日付)で、「芸人も労働組合を作るべきだ」と訴えている労働法が専門の佐々木亮弁護士の言葉を紹介しておきたい。

「本人(吉本の芸人=筆者注)、契約する事務所、労務を提供する相手のテレビ局といった三面関係があるので派遣労働者に近い立場とも言えるかもしれません」として、芸人たちもプロ野球の「日本プロ野球選手会」のような労働組合をつくれと語る。それには、

「芸人自身、しかもそれなりに力のある方が声をあげて作らなければいけないと思います。例えば、ギャラの配分一つを取っても『どれくらいの配分がいいのか』は当事者しかわからない部分もある。そうしたものに影響を与えるには、それなりに力を持った人たちの発言力が欠かせません」

松本人志よ、吉本の真の改革を目指すなら、ドンといわれるあんたが動かなくては、改革はお題目のまま終わってしまう。吉本の問題点はほぼ出そろった今、松本の芸人としてはもちろん、人間としての真価も問われているはずだ。(文中敬称略)

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