「経営アドバイザリー委員会」のトップは吉本興業所属の人間

最後に「経営アドバイザリー委員会」に触れよう。これは闇営業問題に端を発する諸問題の改善に向けて助言・アドバイスを行う機関として「吉本側からいい出した」ものである。不祥事が起きたときに第三者委員会をつくって、こうした問題がなぜ起きたのかを検証するという趣旨の委員会ではない。

こんなものをつくる前に、第三者委員会を設置すべきだと考えるが、そんなものをつくって、さらなる闇が出てきたら困るからだと思われても致し方あるまい。

8月8日に座長を務める川上和久・国際医療福祉大学教授が会見を行った。私は、ペラペラとよくしゃべる芸人のような人間だなと、テレビを見ていて思った。

さして目新しいこともなく、所属芸人たちと「共同確認書」を書面でかわすという以外に、芸人が望むなら「専属マネージメント契約」か「エージェント契約」を選べるようにするということを発表しただけであった。

この川上なる人物について東国原英夫がツイッターで、「川上和久氏は元々吉本興業所属じゃなかったっけ?」とつぶやいた。

私のところへも読者から、「座長の川上和久氏は吉本興業と所属タレント契約があり、吉本と利害関係のある者を座長にするのは不適格だと思う」という投書が来た。座長就任直前に吉本タレント紹介ページから削除されたという。

安倍政権にすり寄る大崎会長らしい人選

さらに川上氏はメディア情報操作の専門家だという。著書を調べてみると確かに、『情報操作のトリック その歴史と方法』(講談社現代新書)、『北朝鮮報道 情報操作を見抜く』(光文社新書)などが出ている。『「反日プロパガンダ」の読み解き方 歪められた歴史認識を正すために』(PHP研究所)という安倍首相が喜びそうな本も出している。

『LITERA』(8月14日)は、「吉本興業“改革”の委員会が酷い! 自民党に護憲派攻撃を指南した学者、裏金隠蔽に加担の検察警察幹部、三浦瑠麗…」として、こう書いている。

「川上氏といえば、政治心理学者という肩書を持つが、『改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会』に八木秀次や加計孝太郎とともに名を連ね、育鵬社の『公民教科書編集会議』座長も務める、安倍政権の極右仲間。

しかも川上氏は、昨年12月、自民党憲法改正推進本部の会合に招かれ、『憲法改正国民投票の最大の壁とは』というテーマでヒアリングに応じた際、投票に向けて改憲派も反対派を敵と位置付け、名指しで批判するなどネガティブキャンペーンが必要だと説いたという」

これが事実なら、安倍政権にすり寄る大崎会長らしい人選というべきだろう。