サウナを楽しみソーセージを焼いて食べる「リラックス」の形

マルクスさんによれば、サウナはリラックス、そしてそれを共に体験する人との社交の場だ。なにか要素を追加するとすれば、森の中の新鮮な空気であったり、飛び込める湖であったりと、フィンランドに豊富にある自然に由来するものになるそう。

一方で、「サウナの楽しみ方自体にもルールはありません」とマルクスさん。リラックスの形の一つとして、フィンランドにはサウナを楽しみながら食事をする、「サウナフード」という文化があることを紹介してくれた。

前述したようなコテージのサウナでは、サウナに出たり入ったりすることが落ち着いたタイミングで、集まった仲間たちでソーセージを焼くなどして軽食を取るのだ。こうしてサウナを通じて絆を深める。また、その際にはビールが「サウナドリンク」になる。「神聖な場所」ではあるが、決してストイックな場所ではないようだ。

本場でもサウナの文化は移ろっている。例えば、かつてフィンランドでは土曜日に家族一緒にサウナに入ることが多かった。しかし現在、この「週末に家族でサウナ」はあまり見ない光景になりつつある。

都市部での住居の主体は日本同様にマンションだ。各部屋にサウナがあるマンションでは、ベランダで外気浴をする人もいる。ただし、「都市部とはいえ空気は新鮮」であるため、イメージは日本とは異なるかもしれない。

体温を「上げて、下げる」のがサウナの肝

本場の国・フィンランドを離れ、日本で「ガラパゴス的」と言える進化を遂げるサウナ。「○分入ったら、水風呂に入ろう」と修行のようにサウナに入る日本人の姿は、リラックスを重視するフィンランドの楽しみ方とは異なる。

日本でのブームはどのように受け止められるのだろうか。マルクスさんは、「もともとフィンランド語である『サウナ』という言葉が、文化として日本で浸透しているのはとてもうれしい」という。その上で、サウナをサウナたらしめる要素をこう説明する。

「サウナにとって重要なのは、体温を『上げて、下げる』を繰り返すこと。その体験ができるのであれば、それはサウナだと言えます。日本ではサウナの外に出て森で新鮮な空気を浴びたり、湖に飛び込んだりすることは難しいかも知れませんが、『水風呂』のような代わりとなる方法も生まれている。みなさんの好みに合わせて、さまざまな楽しみ方を編み出してほしいですね」