女性は「出産・育児ができる年齢か」を見られる
一方、結婚する女性のほうはどうでしょうか。女性が選ばれるのは「年齢」が重要な基準となっています。外見で言えば、いわゆる蓼食う虫も好き好きなので、どこかには自分を好きになってくれる男性がいます。
何年か前、長寿番組の「新婚さんいらっしゃい!」(朝日放送テレビ)に見るからにふくよかな女性が出てきた回を見たことがあります。どこで知り合いましたかという質問に「ぽっちゃり婚活」と答えていました。男性は中肉中背でしたが、太めの女性が昔から好きで、この集まりに参加を申し込んだそうです。
女性の収入については、あまり気にされません。外見も身長も関係ありません。では、なぜ年齢か。端的に言って、「出産」「育児」です。多くの若い男性にとって、子どもを産んで育てられる年齢ということが女性が結婚相手として選ばれる大きな条件になります。
先に述べたように、男性は結婚の条件として相手の経済面はあまり重視していません。まあ、最近の男性は「女性の収入は高いほうがいい」、つまり共働きしてもらいたいという意見が多くなっていますが、最優先の条件ではありません。
男性が婚活しても「結婚のチャンス」は増えない
そして、外見に対する男性の好みというのはかなり多様なので、女性にしてみれば自分を好んでくれる男性がどこかにいるわけです。もちろん、どこかにいるけれどもどこにいるかはわからない。それが、女性が婚活する理由でもある(いろんな男性と出会うチャンスが増えるわけですからね)。
女性のほうが婚活に積極的ですが、その理由も、婚活すればいつかは結婚困難が解消されるという手ごたえを感じるからでしょう。男性はそもそも経済や容姿のデータで選別されるので、婚活してもチャンスが増えることはなく、結婚が困難なことに変わりはありません。つまり、結婚できる・できないの格差は、特に男性のほうに残るわけです。これは、私の編著書で、村上あかね桃山学院大学准教授が詳しく分析しています(『「婚活」現象の社会学』)。
こうした状況については、男性の経済格差が広がったために、男性の経済格差を意識する女性というものが顕在化しているという言い方もできるでしょう。
男性の場合、いわゆる外見によって生じる結婚の格差は、昔からありました。ただし、昔の若い男性はほとんどが正社員でした。つまり、男性の経済格差が小さかったので、若い女性はその収入を気にせずに、外見のほうを気にする度合いが大きかったともいえるわけです。