デートの後にホテルで2人きりになったら、セックスをしてもいいのか。AV男優の一徹さんは「なしくずしのセックスは避けるべきです。たとえ夫婦であっても、相手から『いいよ』と同意を得なければいけません」と指摘する――。

※本稿は、一徹『セックスのほんとう』(ハフポストブックス/ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/eopleImages)

10年後「同意のないセックスが犯罪になる」

先日、『未来のセックス年表 2019-2050年』(坂爪真吾著/SB新書)という本を読みました。その中の「日本人の性 未来予測カレンダー」には「2029年 同意のないセックスが犯罪になる」と書かれていて、どきっとしました。この本に書かれていることは、実は僕も「たぶんそうなるだろうな」と日頃から感じていることが多く、とても興味深く読ませていただきました。

近年、議論の的になっている「性的同意」は今、AV業界でもよく話題になることです。

みなさんが知りたいのは、性的同意などという堅苦しいことではなく、気になる女性や彼女といい雰囲気になった時に、どんなふうにセックスに誘うのか、ということだと思います。けれども、この性的同意は、今後、僕たちが女性とセックスをしようと思った時に避けては通れない話になっていくと思います。

日本で性的同意が話題になったきっかけは、#MeToo(ミートゥー)運動が大きかったのではないかと思います。

MeTooとは、文字通り、「私も」という意味です。この英語にハッシュタグ(#)をつけた#MeTooは、著名な映画プロデューサーの数十年に及ぶセクハラを告発する2017年の記事に発端しています。「私も同じような被害を受けた」という女性たちが、#MeTooというハッシュタグをつけて、世界的なセクハラ告発運動が展開することになりました。日本でも、この#MeToo運動が起こり、女性たちが過去に受けたセクハラを証言しました。

「あの時、本当は嫌だった」に申し開きができるか

この問題を、まずは僕たちAV業界で振り返ってみたいと思います。#MeTooが世の中に認知される前後、日本のAV業界でも、望まない女優さんの出演強要があったという訴えがありました。

業界では昔から女優さんも男優さんも、必ず事前に契約書を交わすことが義務づけられています。プレイの内容も、事前にちゃんと相談し、これはOK、こっちはNGと、細かく話し合いをしてから作品を撮っています。また、性病検査も男優さん・女優さん共に厳しく義務づけられています。

また、これはあまり知られていないことですが、撮影現場でも、四六時中定点カメラが回っています。これは、スタッフやマネージャーが見ていない場所で、契約以外の行為が行われていないかを監視する目的のためのものです。

僕たちは仕事でセックスをしている身なので、いち早く、この「性的同意」に取り組むことになりましたが、この流れは確実にプライベートなセックスにも及んでくると感じます。

#MeToo運動では、かなり時間のたった過去のセックスに対して性的同意がなかったと訴えるケースが多く見られました。

その時は、その場の雰囲気でなしくずしにセックスできたとしても、数年後「その時、本当は嫌だった」と女性から訴えられた場合、僕たちは「申し開き」ができるでしょうか。最低限のルールとして、僕たちは、これからするいかなるセックスにおいても、女性に強要をしたり、同意なしに行為に及んだりすることを避けなくてはなりません。