本当に必要なのは深夜のアイスではなく、冷蔵庫だ

そもそも日本は便利なサービスを提供しすぎている気がする。

365日24時間営業のコンビニはあれば便利だが、別に無くても生きていける。牛丼を夜中に食べたくなっても我慢すれば良い。深夜一時まで営業している駅のスーパーを日が変わって利用したことはあるが、無ければ無いで次の日に買い物をするだけだ。

余談だが、筆者は自販機まで歩いて一時間かかる森の中で18歳まで何不自由なく育った。必要なのは冷蔵庫と冷凍庫だけだ。

夜中3時に食べるコンビニのアイスは素晴らしいかもしれないが、それが23時になってもさして感動は変わらないはずだ。セブンイレブン、それで十分じゃないか。

要はそれを支える人たちの労働時間を減らすことによって、巡り巡って社会全体の労働時間が抑えられるのではないかと思うのだ。

多くの人が17時に会社を出る国でも、経済はきちんと回っている。需要がなければ供給も生まれないので、少しずつでも便利すぎるサービスから離れてみるのはどうだろうか。難しいかもしれないが。

それにもう一つ、日本人の働きすぎのイメージを作っている原因として3年連続で世界最下位の有休消化率がある。

年間30日間、100%の消化率で有休を取るブラジル、フランス、スペイン、ドイツに対し、日本は50%の消化率で10日間にとどまる。そもそも日本では自分に与えられた有休日数を知らない人も多い。

フランスやスペインはともかく、ドイツなんて勤勉なイメージがあるのに……と思うが、そもそも有休に対する姿勢がヨーロッパと日本ではだいぶ違う。

ヨーロッパの人たちにとっての有休は、いうなれば仕事中にお手洗いに行くのと同じレベルの当たり前に与えられた権利であるのに対し、日本人にとっては「どうしても休みたい時にその都度使う必殺のカード」である。

理論的には一気に消化することが可能でも実際会社を見渡すとそんなことはとてもできない雰囲気なのではないだろうか。

ヨーロッパと日本の会社員の休日数はほぼ変わらない

ヨーロッパの人々にとって有休の概念がそもそも違うことに加え、オランダ人の国民性が超個人主義ということも、結果的に上手に休む秘訣なのかもしれない。

日本人のように、周りがこうだからこうする……という考えを絶対に持たない彼らは、かつての「3.11」の際も多くの大使館が撤退する中あえて日本から撤退しなかった。決して本国から残るように命じられたわけでもない、大使・職員たちが情報を吟味した上で個人の決断によって残ることに決めたのだ。

当たり前のように自分で考え、周りに流されずにやるべきことをやるという気質であるため、早く仕事を切り上げて家に帰ることもお手の物だろう。

しかし実は10日間しか有休を取らない日本人も、25日中24日とほぼ100%の有休消化をするオランダ人と年間労働日数は変わらない。理由は簡単、日本は祝日の数が先進国の中でずばぬけて多いのだ。

2019年に至っては、ヨーロッパの平均が10日間程なのに対し、日本では22日間と圧倒的だ。

祝日の一つが土曜日にかぶってしまった今年のオランダは祝日だけみるとたったの8日間(振替休日という概念はない)で、ゴールデンウィークにも及ばない。そういう訳で、祝日22日+有休10日の日本と、祝日8日+有休24日のオランダは、内訳は違えど休んでいる日数は同じなのだ。