今年の10連休は、史上最長となったが「休めなかった」という声も聞く。なぜ日本人は休みを満喫できないのか。オランダに移住して2カ月のフォトグラファー・三浦咲恵さんは「全国民一斉に同じ日に休むなんて健全ではない。祝日を喜ぶのは子どもだけだ」という――。

オランダの働くお父さんは18時にはソファに座る

日本人は働きすぎだ、というのはもはや世界の一般常識になっている。

朝は7時台の満員電車で出社し、夜は22時台に帰宅というのは珍しくない。カレンダー通りに働き、有休を使うのは緊急事態やどうしても外せない予定の時だけで気づいたら休日出勤もしている、というのは多くの人に身に覚えがあるのではないだろうか。

もちろん働くのが悪いわけではない、しかしそれが当たり前だと思うことに少々問題がある。ヨーロッパ、その中でも筆者の住むオランダを例に見てみよう。

日本人からすれば驚くべき話だが、オランダ人は基本的には17時には家に帰る。そして、家族そろって夕食を楽しむのだ。

オランダの家は壁の面積が少なく窓が広いのが特徴だが、彼らの多くはなぜか一切カーテンを閉めない。近所の家の中をのぞくとまだ外が明るい18時頃にお父さんがソファに座ってのんびりテレビを見ているのがよく分かる。なんとも和む風景だ。

写真=著者、以下すべて同じ

それゆえにレストランも閉まるのが早い。18時に行けば満席で、20時に行けばほとんど客はおらず、21時に行けばもうラストオーダーの時間だ。どんなにおしゃれなカフェでも18時には閉まり、本屋や美容室や歯医者などは基本的に日曜日は閉まっている。

いつでも行ける、が当たり前の日本人からしたら最初は不便に感じるが、慣れてしまえばなんてことない。