楽観シナリオはいよいよ崩壊か

また、ゾゾはPB事業を始めてから在庫が徐々に増加し、それに伴い必要な運転資金も増えている(図表7)。翌期の設備投資額を2倍以上に増やす予定である(2019年3月期:36億円→2020年3月期:77億円)。新規ビジネスの開始と既存ビジネスの規模拡大で、今後ますますキャッシュが必要になるだろう。

川口 宏之『いちばんやさしい会計の教本』(インプレス)

おそらく、自社株買いを行った2018年5月時点では、不足するキャッシュはPB事業で補完するつもりだったのだろう。しかし、その楽観シナリオが崩れ、結果として自社株買いは勇み足となった。2019年3月に、三井住友銀行とコミットメントライン契約を締結し、追加の融資枠150億円を確保したのも、この結果を受けてのことだろう。

ゾゾについては、事業だけでなく、キャッシュの動向も注視してきたい。

川口 宏之(かわぐち・ひろゆき)
公認会計士
早稲田大学会計大学院非常勤講師。監査法人での会計監査、ベンチャー企業での取締役兼CFOなどを歴任。現在、多数の上場企業の社員研修や各種団体主催の公開セミナーなどで、「会計」をわかりやすく伝える人気講師として活躍中。著書に『決算書を読む技術』『決算書を使う技術』(共にかんき出版)、『いちばんやさしい会計の教本』(インプレス)がある。公式サイト