会食をするようなお店には、大抵ソムリエがいます。ソムリエはワインのプロですから、わからないことは正直に聞いて、味方につけるといいでしょう。ワイン選びは、本来は接待する側の役割ですが、私は時々、招待された側なのにその場でワインリストを渡されて「どれがいいですか?」と聞かれることもあります。ボトル1本でも5000円くらいから数十万円のものまで幅が広いのに、相手の予算を聞くわけにもいかず、困ってしまいます。もしゲスト側に伺うとしたら、「次はどんなお味がいいですか?」程度にして、それをソムリエに選んでもらうのがいいですね。予算の目安は、最終的にお食事の5~6割強程度。1万円のコース料理を4人でいただくならば、ワイン全体で2万~2万5000円くらいが妥当です。
テイスティングで気になる2ポイント
接待する側の役割で困るのが、ワインをボトルでオーダーした際の、「ホストテイスティング」と呼ばれる試飲でしょう。ワインは瓶の中で何年も寝かされているうちに、何十本に1本かはコルクが傷んでダメージワインとなってしまうものがあるため、お客様に味わいのチェックをしてもらうのが一般的です。お客様にはいい迷惑ですが(苦笑)。
まずは目で見て色味のチェック。赤ワインの場合、新しいのに酸化や加熱で茶色っぽくなっていたらNGです。次に、グラスを鼻の近くに寄せ、香りを軽く嗅ぎます。コルクのダメージがワインに影響していると、洗濯機のようなカビ臭さがあり、酸化していると接着剤のような香りに。その2つのポイントが気にならなければ、「大丈夫です」とお任せしましょう。軽く口に含んでもよいですが、必ずしもその必要はありません。待っている他の皆さんが疲れてしまうので、場の空気を読んで10秒でサッと済ませましょう。
会席では飲み物は右、メーンディッシュは目の前、サラダやパンなど副菜は左が置き場所の基本。これでお隣のものと混同しません。ワインは必ず自分の右手奥にあるグラスを使い、飲んだ後も右手奥に戻します。
グラスはスパークリング、白、赤などワインによって形が異なり、セッティングされたテーブルにはすでに何脚もグラスが並んでいることがありますが、その右端から使えば大丈夫です。持ち方については諸説ありますが、細い脚(柄)の部分を親指と残りの4本の指先で優しく握るのがシンプルで美しいと思います。
店・ワイン選びで思いやりが伝わる
乾杯の際は、軽く音を立てる程度にグラスを合わせても構いません。ただ注ぎ足しは要注意。接待相手のグラスを空にはさせじと、どんどん注ぎ足しがちですが、ワインはグラスの半分以下が目安で、並々と注ぐのはマナー違反。出てくる料理次第では別のワインに切り替えたい人もいるので、勝手に注ぎ足さずに「いかがですか?」と一言伺ってからだとスマートです。