捜査のメスを入れて白黒をはっきりさせるべき
公立福生病院のような問題は、安楽死殺人につながる。行政や学会の検査や調査では頼りない。本来、警察や検察の捜査が入ってしかるべきなのだ。だが、公立福生病院の透析中止問題はまだ、刑事事件には発展していない。
先に触れた射水市民病院の事件では、書類送検された外科医ら2人の医師が不起訴となった。2004年に福島県で起きた福島大野病院事件では、産科医の無罪が確定している。
残念なことだが、医学・医療上の問題や事故は、刑事事件として立件しにくいとみなされ、警察や検察から敬遠されがちになっているところがある。それゆえ沙鴎一歩は「公立福生病院にはきちんと捜査のメスを入れて白黒をはっきりさせるべきだ」と主張したい。
延命治療を受けるべきか、それとも拒否すべきかという終末期医療の問題に対し、安倍政権は真剣に取り組もうとしない。公立福生病院の問題は終末期医療の在り方の問題である。安倍政権は透析患者33万人の命を奪う気なのか。
「文書指導」で済む問題ではないはずだ
公立福生病院の透析中止問題をスクープした毎日新聞は4月17日付で社説を掲載している。3月9日付社説に続く2度目の社説である。
毎日社説(4月17日付)は「福生病院への東京都検査 『指導』で済む問題なのか」と見出しを掲げ、こう指摘する。
「公立福生病院(東京都福生市)で人工透析治療の中止で患者が死亡したことについて都が検査した。死亡した患者24人のうち21人は『意思確認書』がなかったという」
「都は患者の意思確認が不十分だったとして、医療法に基づき院長を文書で指導し、改善に向けた報告書の提出を求めた」
「しかし、『文書で指導』程度で済む問題なのだろうか」
同感だ。この問題は決して「文書指導」で済ませてはならない。司直の手が入って当然の問題である。