百貨店からブランドECまでを、裏側で支援
【田原】そのサービスはいつから?
【田中】12年です。若い女性向けのバッグのブランドであるサマンサタバサさんに依頼されてECサイトを開発したのが最初です。
【田原】メーカーは自社でやるサイトをつくったり、物流をやるノウハウがないんですか?
【田中】靴業界でいうと、単品管理ができていなくて、何が何個あるかわかっていないという会社もあります。そこで私たちが倉庫業務を代わりに担います。たとえば店舗で欠品したら倉庫からお客さんに直接送るといったサービスも行っています。
【田原】リアルの店舗も含めてバックヤードをぜんぶやるということ?
【田中】はい。あとPOSレジやQRコード決済の仕組みを提供したり。ブランドさんにはブランディングと商品開発に注力してもらって、ほかは私たちが一気通貫で提供します。
【田原】田中さんは「在庫シェアリング」とおっしゃっている。これはどういうことですか?
【田中】百貨店は買い取りではなく、売れなければ靴屋さんに返品されるということをご存じですか? だいたい2割、ヘタをすると3~4割が返品になるので、靴屋さんは大変です。一方、先ほど言ったように店頭ではサイズや色によって欠品も多数発生する。その結果、どこかの店で返品されようとしている靴が、別の店では欠品になっているというケースがよく起きています。この問題を解決するのが、在庫シェアリングという考え方です。具体的には、A百貨店新宿店、B百貨店銀座店といった各店舗や、ロコンド倉庫の在庫をバーチャルで一元化。A百貨店で欠品した商品がB百貨店にあれば送ったり、お客さんのお家に送れます。
【田原】なるほど。みんなで1つの在庫にするとムダがなくなるわけだ。ところで、ロコンドのBtoBサービスに競合はいないんですか?
【田中】ZOZOさんやマガシークさんもやっています。ただ、競合はほぼ自社ECの開発・運営だけ。私たちはシステムや物流まで支援するので、守備範囲が大きく違います。
【田原】最近、アパレルの“ZOZO離れ”が話題になっていますね。モールから撤退するアパレルが増えると、自社ECを支援する田中さんたちにとっては追い風ですか?
【田中】自社ECは増えていくと思いますが、モールはモールで残ると思っています。消費者が服や靴を買うときのパターンは、ブランドから選ぶか、「黒いニットが欲しい」というようにカテゴリーから入るかの2つ。前者は自社ECでいいですが、後者はモールのほうがいろいろなブランドを比べられて便利です。モールのニーズは必ずある。私たちもBtoCのモールと、BtoBのプラットフォームサービスで、両方をカバーしていきます。