【田原】将来は、どっちがメインになりますか?

【田中】当面は、あくまでBtoCがメインです。ただ、BtoBの割合は少しずつ増えているので、将来は半々くらいになる可能性はあります。

【田原】BtoCの戦略も聞かせてください。いまECはラストワンマイルが問題になっていますね。ロコンドはどうですか?

【田中】約2年前に「急ぎません便」を始めました。最近は当日や翌日到着があたりまえになっていますが、それが配達員のプレッシャーになっていたり、稼働が平準化せずに非効率になる原因になっている面があります。しかし、靴なら2、3日ゆっくりでもいいというお客様もいらっしゃる。その場合は意思表示をしていただき、そのぶん送料を下げます。私たちはメインでヤマト運輸を利用していますが、ほかにも共同の取り組みで何かできるんじゃないかと考えています。

【田原】さきほどZOZOが脅威だとおっしゃっていたけど、アマゾンはどうですか?

【田中】競合かと言われると、違うと思います。アマゾンさんは大きいですが、得手不得手があって、ファッションの売上高はすごく小さいので。

【田原】いま売り上げや社員数はどれくらいですか。

【田中】18年度の着地が150億円。従業員は正社員が100人。アルバイトを含めると約400人です。

【田原】海外戦略も考えている?

【田中】ECの世界展開は考えていません。たとえばロコンドチャイナをやろうと思うと、中国に倉庫をつくらなくてはいけないし、仕入れ先もゼロから開拓しなくてはいけません。それには多くのお金や時間を要します。過去にはZOZOさんも中国進出に失敗したし、ECの世界展開の唯一の成功例と言えるアマゾンさんでさえ、進出しているのは15カ国以下です。そうした現実を踏まえると、かなり難しいと判断せざるをえません。将来ありうるとしたらBtoBのほうです。システムやQRコード決済といった仕組みは海外展開しやすいので、可能性としては考えています。

【田原】わかりました。頑張ってください。

田原さんから田中さんへのメッセージ

今回印象に残ったのは、マッキンゼー出身者は積極的にリスクを取る人が多いということ。田中さんも「うまくいく可能性はゼロじゃない」と言って、債務超過の会社の経営に手を挙げた。ゼロどころかマイナス状態の会社に懸けたのだから、肝っ玉が据わっています。

日本の大企業は挑戦して失敗した人はエリートコースを外れ、何もしなかった人が出世する。これではみんな守りに入ってしまう。本田宗一郎や盛田昭夫は、会社を大きくした後も攻め続けた。田中さんには、これからも積極的にリスクを取りにいってほしいですね。

田原総一朗の遺言:これからもリスクを取りにいけ!

(構成=村上 敬 撮影=宇佐美雅浩)
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