海外での飛躍に必要な一手は何か

もちろん競合もいる。しかしそれは、既存のステーキチェーンなどではなく、例えばダイニングイノベーションが運営する、1人焼肉の「焼肉ライク」などだ。同店は1人で焼肉を楽しむという、これまでになかった新しい需要、新しい市場を開拓し、成長・拡大を続けている。「いきなり!ステーキ」もまた、立食スタイルの「俺のシリーズ」からインスピレーションを得て、高級品であるステーキを安く手軽に食べるスタイルを新しく生み出した企業であるから、ライバルも同様に、新しい業態を開発できる企業になってくるだろう。

「いきなり!ステーキ」は、これまで海外展開も積極的に進めてきた。2018年9月に米国ナスダック市場に株式を上場し、米国内に11店を出店している。立ち上がりは鳴り物入りであったが、不振店が顕在化したことで、7店舗を撤退し、残り4店舗のうち2店舗を「ペッパーランチ」に転換することを発表している。「いきなり!ステーキ」の海外展開の構想は修正が迫られている。

ペッパーフードサービスという会社自体、「いきなり!ステーキ」によって飲食チェーンとして一段上のステージに上がった印象がある。これからさらに成長していくためには、「いきなり!ステーキ」に並ぶもう1本の柱を作る必要があるだろう。

(構成=衣谷 康 写真=時事通信フォト)
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