「趣味の悪さ」「創造力の欠如」もバカッターの原因に

【理由3】「炎上させることが趣味」という悪趣味なヤツがいるから

世の中には不思議な趣味を持つ人々がいて、ネット上に転がっている過去の映像や画像を炎上目的で探し出し、突然SNSで公開して当事者を炎上させたりすることがある。ここ数年を振り返っても、「牛乳石鹸」「ブレンディ」のネット動画が公開からかなりの時間を経て炎上した。余談だが、牛乳石鹸の動画には、あの新井浩文が登場している。

今年発生した一連のバカッター騒動についても、ビッグエコーの「唐揚げ用の鶏を床にスリスリ」や、バーミヤンの「中華鍋から上がる炎でタバコに火をつける」は2018年にアップされた動画だ。それを悪趣味な輩が2019年になって改めて投稿し、あたかも最新動画のように扱って拡散させたのだ。こうした趣味を持つ者は「いいね」やRTの数が増えていく様を見るのが快感で、SNS上でバカッター動画・画像探しをすることは、あたかも“宝探し”のような感覚になっているのかもしれない。

【理由4】自分の仕事と社会の関係に気付いていないから

以前「遅刻頻発の社員を駅前で謝罪させる」という動画をYouTubeに公開したIT系ベンチャー企業の社長がいた。当然ながら「パワハラ」「ブラック企業」だとして炎上したのだが、件の社長は「あくまでも社内の問題」だと捉えていた節がある。バカッター騒動にしても「所詮はバイト中のちょっとしたおフザけ」と考えて、事が大きくなるなど想像していなかったのではないか。

社長とバイトスタッフでは立場や社会的責任の重さに違いがあるものの、「社内の論理」「身内の論理」しか見ていなかったという点では同じである。前者の社長については、動画を社内イントラで公開するだけでは抑止力にならない、懲罰効果が薄い、などと考えたのかもしれないが、いまのご時世で「パワハラ・ブラック企業認定」の恐怖を感じないのはあまりに迂闊である。

つまらない人間の悪ふざけほど興醒めするものはない

【理由5】自分のことを面白い人間だと誤解しているから

だいたい、世間の大多数を楽しませるような動画や画像を撮ることができる人間なんて、少数派なのである。私もイベントや講演などに登壇し、人前でしゃべる機会はあるが、あくまでも数十人からせいぜい100人程度を対象にして、テーマに関する基礎知識や前提となる「文脈」を理解している人しか楽しませる自信はない。だから、恐ろしくてYouTubeチャンネルを開設しようなどと考えるはずもない。

それなのに、バカッターをしでかす人間は、自分が面白い人間だと思い込んでいるのか、まったく面白くない興醒め動画を嬉々として投稿してしまう。

先日、セブン‐イレブンのバイト店員が商品のおでんを口に入れて、ふざけるというバカ動画が炎上したが、店員の中高時代の同級生だという人物がツイッターで実に的確な指摘をしていた。要約すると「こいつは昔からつまらなかった」「つまらないヤツには早いうちに、そのつまらなさを指摘しておけば抑止力になる」といったことだ。見事な分析である。