「口先だけの安定を強調するトランプ氏」
そのうえで毎日社説は続けざまにこれまでのニュースを並べる。
「昨年6月の米朝首脳会談では、金氏が非核化の意思を示し、トランプ氏が安全の保証を約束した。確かに米朝間に緊張緩和は生まれた」
「しかし、合意には日本に脅威となる核兵器や短・中距離弾道ミサイルの廃棄は明記されなかった」
「会談後の記者会見では米韓軍事演習の中止や将来的な在韓米軍の撤収に言及した。日本の安全保障に影響を与えかねず、日本政府は慌てた」
こう書き連ねた後、毎日社説は次のように指摘する。
「その後の8カ月を振り返っても、非核化は進まず、朝鮮半島情勢が安定に向かっているとは言いがたい」
「日本国民は、口先だけの安定を強調するトランプ氏に、むしろ不安を募らせているのが実情だろう」
そして最後にとどめをさす。
「日本政府もトランプ氏の機嫌を取るだけではなく、具体的な進展に向けて後押しし、安易な妥協をしないようクギを刺す必要がある」
2月27日と28日にベトナムで開催される米朝首脳会談
2回目の米朝首脳会談は2月27日と28日にベトナムで開催される。会談の結果を受け、安倍首相はどう動くか。
アメリカの力を借りて、韓国と北朝鮮が終戦を宣告し、ひとつにまとまる動きを見せている。徴用工判決、韓国軍による火器管制レーダー照射事件、天皇陛下に慰安婦問題の謝罪を求める国会議長発言……。韓国はかつてないほど日本に反発している。北朝鮮は経済制裁解除に向けてしたたかに動き、核・ミサイル開発を継続させようと画策しいている。
果たして安倍首相はこの大きな波を乗りこなすことができるのか。安倍首相の鼎(かなえ)の軽重が試されるときだ。
(写真=EPA/時事通信フォト)