トランプ氏がノーベル平和賞の推薦を非公式に依頼

安倍首相は本当にトランプ氏をノーベル平和賞に推薦したのだろうか。

その後、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、報道機関の取材に対し「私は推薦していない」と否定している。文氏は「トランプ大統領はノーベル平和賞を受けるべきだ」と語ったことがあり、アメリカのメディアは「推薦したのは安倍首相ではなく、文大統領だろう」と報じていたが、それは事実ではなかったようだ。

安倍首相本人は、国会の答弁でノーベル委員会が平和賞の推薦者と被推薦者を50年間は明らかにしないとことを理由にノーコメントとしている。

しかし複数の報道によると、昨年6月の米朝首脳会談の後に行われた安倍首相とトランプ氏の会談のときに、北朝鮮の核・ミサイル開発の停止を前提に、トランプ氏が安倍首相にノーベル平和賞の推薦を非公式に依頼した。この情報を明らかにした政府関係者は「外交の世界では依頼を受けて推薦することは珍しくはない」とコメントしているという。

やはり安倍首相は推薦していたのである。

「外交辞令では済まされぬ、露骨なお追従」

「安倍首相は本気で、トランプ米大統領がノーベル平和賞にふさわしいと考えているのか。外交辞令では済まされぬ、露骨なお追従(ついしょう)というほかない」

この書き方から、どこの新聞の社説かすぐに分かると思う。そう、安倍首相を嫌うあの朝日新聞の社説だ。「露骨なお追従」とは、皮肉の調味料がたっぷりと効いた言い回しである。実に朝日社説らしい。さらに朝日社説は安倍首相を追及する。

「安倍政権は会談後も、北朝鮮の脅威は変わらないとして、陸上配備型迎撃ミサイルシステム『イージス・アショア』の導入を進め、米国製戦闘機F35計105機の追加購入も決めた。国内で危機感をあおりながら、トランプ氏には緊張がなくなったと感謝するのは、ご都合主義が過ぎる」

会談とは昨年6月の米朝首脳会談を指す。確かに安倍首相は北朝鮮の脅威を指摘しながら危機感をあおった。それを手のひらを返すように「自分がその脅威を取り除いた」と自慢するトランプ氏をノーベル平和賞に推薦するのはいかがなものか。開いた口がふさがらない。手前味噌にすぎる。

さらに朝日社説は「一貫しているのは、トランプ氏の歓心を買うかのような姿勢だ。ノーベル平和賞の推薦まで持ち出すとは驚く。国際社会の目にどう映るだろうか」と書く。

この指摘もうなずける。安倍首相の行動はお追従そのものだ。国際社会から軽蔑のまなざしを向けられても仕方がない。