「丸紅アカデミア」で人材を育成

丸紅社長 國分文也氏

【佐藤】そうした人材を、どのように育成していこうと考えていますか。

【國分】その一環として、2018年4月から丸紅アカデミアというプログラムをスタートしています。期間は1年で人数は25人。拠点は東京とシンガポールです。プリンシパルにはシンガポール政府投資公社(GIC)の元幹部に務めてもらいます。

丸紅のプラットフォームを使って、社内の人材がどう化学反応を起こせるのか。そのヒントになる実地の教育をやろうということです。

【佐藤】それはすごく面白いですね。実は、私も日本の外務省にそうしたアカデミーをつくりたかったのです。

丸紅アカデミアではGICの元職を入れるそうですが、実はこれがすごくポイントになってくるはずです。それはなぜか。元職には今の情報は入ってきませんが、エリートの文法がわかっているからです。もし文法がわからなければ、いくら情報を入手しても“情報を読む”ことはできない。現職の人は守秘義務があり、どうしても必要以上に抑制的になるのですが、元職は情報を意外と自由に読み解いてくれるでしょう。

もうひとつ、お伺いしたいのは、どうすればプロジェクトで失敗しないのか。あるプロジェクトが、将来性のあるイノベーションなのか、それともおかしいのかを、どうやって見抜くかということが重要になってくると思うんです。

【國分】日本人はプロジェクトを、非常に楽観的な予測に基づいて進める傾向がありますが、私は悲観的な予測も同時に用意しなければならないと考えています。収集した情報を、科学的に分析し、最悪のケースにも備えておく。情報が溢れている中で、確度の高い情報をどう見極めていくのか、訓練と技術が必要ですが、日本人はそうしたアプローチが非常に苦手なのではないかと思います。