「9回も転職に成功した人」に聞いてみた

私は新卒で入った会社を4年で辞めて以来18年間、一度も就職をしたことがない。恐らく自分は「転職ができない人間」なのではないかと思う。もっというと「新たに人間関係を構築するのが苦手」ということなのだろう。だからこそ、私は転職という決断ができる人のことを尊敬するし、何度も転職した経験を持つ人に対しては畏敬の念にも近い感情を抱いてしまう。

そこで今回、9回もの転職を経験した友人のGさん(40代)に、3つの質問を投げかけてみた。どれも「転職をしたいと思えない」「新しい人間関係構築が苦手」な自分にはなかなか意図が想像できない、素朴な疑問ばかりである。

Q1.なぜ転職を何度もするのですか?

A1.「好条件を提示された」とか「現職の事業縮小や組織の解体で転職を余儀なくされた」とか「やりたい仕事が、その会社にあった」など、理由はその時々によって異なります。ただ、「転職」は常に選択肢のひとつとして考えているので、結果的に何度もしてしまった、という形になっています。

Q2.毎回、新たに人間関係を築くのは苦じゃないのですか? 新しく知り合った人といかにして仲良くなるのですか? その際の工夫はありますか?

A2.苦にはなりません。というより、苦だと思ってはいけません。人間関係の構築は仕事をする上で最も大切なことですし、それがうまくできないと、すぐに人間関係が原因で仕事が円滑にまわらなくなり、また転職せざるを得ないということにもなりかねません。

良い関係を新しい同僚とつくるためにいちばん重要なのは、最初の1カ月間で、とにかく社内のいろいろな人と、自分から積極的に会話をしていくことだと思います。最も簡単にできるのは、自分が“新しく来た人”であるうちに、周囲の人々にできるだけいろいろな質問をしてみるということでしょうか。業務の流れや社内の文化がわかりますし、環境にも溶け込みやすくなります。

Q3.転職をするにあたって、何か助言はありますか?

A3.基本的に、転職は「最後の手段」だと考えるほうがいいと思います。自分がやりたい仕事、得られる待遇、その他、自分が仕事に求めているものに対して、いまよりも早く近づくことができる――そう確信できたときに「転職」というカードを切るのが理想的でしょう。

逆に「転職しようかな、どうしようかな」などと悩むくらいなら現職にとどまるほうが、結果的には良い結果につながると思います。転職はあくまでも手段であり、目的ではありません。目的にしてしまった瞬間、失敗になるリスクはぐんと高まります。また、転職したら「前職の話」は(「どうしても話してほしい」と言われた場合は別ですが)極力しないほうがいいです。過去は振り返らず、前だけを見てください。