「『2島返還』への方針転換だと受け取られた」
産経社説は「ロシアがかくも強気に出ているのは、安倍晋三首相が四島返還の原則から離れ、日ソ共同宣言重視を打ち出したためだ。これは『2島返還』への方針転換だと受け取られた」と指摘する。
見出しも「『2島』戦術破綻は鮮明だ」「日本の立場毅然と表明せよ」である。
さらに産経社説は指摘する。
「日ソ共同宣言は、平和条約の締結後に色丹、歯舞を引き渡すとしている」
「だが、共同宣言は、シベリアに不当に抑留されていた日本人の帰還や国連への加盟、漁業問題の解決という難題を抱えていた日本が、領土交渉の継続を約束させた上で署名したものだ」
「国民に対する説明責任もきちんと果たしてほしい」
安倍首相は昨年11月のプーチン氏との会談で、1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速させることで合意している。同宣言には歯舞と色丹の二島しか明記されていない。四島返還の原則を放棄したものとロシアに受け取られかねない。だが、産経社説によれば、同宣言は領土交渉の継続を約束させたものだ。沙鴎一歩は四島返還の原則に戻るのは賛成である。
最後に産経社説はこう主張して筆を置いている。
「法と正義に基づく日本の立場を、毅然と表明するのが筋だ。安倍政権には、焦ることなくロシアと交渉し、国民に対する説明責任もきちんと果たしてほしい」
安倍首相は焦ることなく、四島返還を目指すべきである。相手は竜宮城に住む異邦人である。時間の流れも大きく違う。そんな相手だからこそ、初心と原則を忘れず、しっかり交渉を進めてほしい。
(写真=AFP/時事通信フォト)