敗戦したがゆえに北方四島を取られても何も言えない

ロシアはヤルタ会談を持ち出して「大戦の結果だ」と主張してやまない。言い換えれば、日本が敗戦したがゆえに北方四島を取られても何も言えないのである。敗戦という事実は、いまだに日本の外交に暗い影を落としている。日本が国際連合(国連)の主要機関である安全保障理事会(安保理)の常任理事国になれない現状を考えればよく分かるだろう。

ちなみに国連安保理は、戦勝国の5カ国(米国、ソ連、英国、フランス、中国)の常任理事国と、2年ごとに国連総会で選出される10カ国の非常任理事国で構成されている。日本は2017年12月に任期が切れて11回目の非常任理事国を退いた。日本に対してはここ数年前から常任理事国に入れるべきではないかとの議論が国連にはある。

日本が北方四島を常任理事国のロシアから取り戻すことができれば、敗戦国という負い目を克服したことになる。日本の外交において大きな追い風である。

それゆえ安倍首相は焦ることなく、北方領土交渉を続けてほしい。自分の任期中に何とか形にしようとすればするほど、間違いなくしたたかなプーチン氏に足下を見られる。

繰り返すが、北方領土交渉に成功すれば、日本の外交力は増す。世界が敗戦国と見なさなくなるからだ。国連安保理の常任理事国という立場を得る可能性も強くなる。日本はまずロシアとの北方領土交渉を、目先のことにとらわれずに長い目で続けていくことが大切である。

「(日本は)大戦の結果を世界で認めていない唯一の国だ」

1月21日付の毎日新聞が「露外相の北方領土発言 交渉の基盤を危うくする」という見出しの社説を書いている。書き出しはこうだ。

「ロシアのラブロフ外相が年頭の記者会見で、日本が北方四島の領有権を主張するのは『国連憲章の義務に明白に違反している』と述べた」
「日本の国内法で『北方領土』という呼称を使っていることを批判し、『第二次大戦の結果を世界で認めていない唯一の国だ』とまで言った」

国連憲章に違反していると言い、北方領土の呼称も許さない。揚げ句の果てが敗戦を認めない国だと批判する。勝手な言い分である。これが大国ロシアの主張なのかと思うと、開いた口もふさがらなくなる。

さすがの毎日社説も強く反論する。まず国連憲章の義務違反かどうか。

「ラブロフ氏が例示したのが国連憲章107条だ。しかし、これは国際法上、ロシアに北方領土の領有権を認めたものではなく、日本に従うべき義務を定めたものでもない」
「大戦の結果として『敵国』に対してとった行動は『無効』となるものではないという趣旨で、個別の降伏条件について国連は責任を負わないことを目的にした条文とされる」