TOEICの点数を上げるには、どんな学習が有効なのか。今回、6つのレベル別に「最短ルート」を識者に聞いた。第4回は「600点台」の学び方について――。

※本稿は、「プレジデント」(2017年4月17日号)の掲載記事を再編集したものです。

自分なりの英語で即答する

英語とは、コミュニケーションツール。英語で人にものを伝える喜びを知ることが、600点台からさらに上を目指す原動力になると山根和明氏は言う。そのメソッドは、TOEICテストのパート3と4を使って、「会話」を学習に取り入れるのが特徴だ。

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「私の指導では、通訳養成所などで実施することが多い『クイックレスポンス』を実践的に行っています。これは、CDの会話文を聞きながら、問いかけの英文に対して自分なりの英語で即座に答える練習法です。これを繰り返すと、リスニング力が上がるだけではなく、相手の言葉に即座に応じる瞬発力がつきます。何より、英語で誰かと会話をしているようで楽しいですよ」

ただし、自分で即座に英文を考えるのは至難の業。そこで「シャドーイング」を組み合わせるのが山根式。

「文字通り、影のようにネーティブの発音のすぐ後を追って復唱する練習です。テキストは見ないで、パート3や4の会話やトークを聞きながら実践してみてください。自分自身の言葉でしゃべっているような感覚が得られればOKです。ある程度理解したあと、クイックレスポンスに入ると理解力がアップします」

日本人は基本的に、誤答を許されない教育方針に慣れている。これが英語学習においても、奔放にコミュニケーションを楽しむ下地を損なっているというのが、山根氏の考えの根底にある。ことTOEIC対策においても、ただ点を取るだけのやり方に特化しては、英語そのものを好きになることはなく、長い目で見れば成長にも繋がりにくい、得点も伸び悩むというわけだ。

「300、400点の段階でも、会話を楽しむ学習は、取り入れてほしい」