トランプ効果のみで勝利したとは言い切れない
したがって、2018年中間選挙において、通常通り民主党候補者と共和党候補者が矛を交えた場合、大半のケースで民主党が勝利することは必然だと言えるだろう。
中間選挙前の共和党猛追はやはりカバノー最高裁判事承認過程で危機を感じた保守派による組織動員力の結果だが、相手がヒラリーのような脆弱な候補者でなければさすがに逆転差し切りは難しかったものと思われる。
上院選挙で勝利したインディアナ州はペンス副大統領の地元、知事選で勝利したオハイオ州は反トランプ筆頭のケーシック知事の地元であり、それら強力な政治プレーヤーの影響力はあっても、隠れトランプも含めたトランプ効果(隠れトランプ含む)のみで勝利したとは言い切れない。
米国で否定された説を、検証せずに垂れ流す日系メディア
もちろんメディア関係者や大学関係者などのリベラル色が非常に強い業界では「隠れトランプ支持者」はいるだろう。それらの業界に属する日本人が米国人の知り合いに取材した場合、隠れトランプ支持者の影響を過大評価することも無理はない。米国メディアが一時的に垂れ流した説に対して、十分な検証時間もなく受け売り報道を強いられる日系メディアの立場も理解できる。
しかし、既に2016年大統領選挙から2年が経過しており、日系メディアも自らの報道内容の検証能力を高めていくことが重要であろう。今後は、日本においても米国の専門家による議論を真摯に追いかける姿勢を持った報道が心掛けられるべきだ。
(写真=AFP/時事通信フォト)