入試の項目に校庭100周を入れよ

こんなことになるのであれば、そもそも男性と女性とを分けて、入学定員を決めてしまえばいいと思う。かつての日本企業は、男女それぞれの募集人員を発表していたものだが、男女雇用機会均等法以来、一括採用となった。大学でも男女の定員を分けて入試できないのはそういった社会背景もあるのではないだろうか。しかし、日本の企業だって、結局は男を優先して採用している現実がある。「建前は平等だけど、実際は違う」という社会よりも男女の定員をそれぞれはっきりと設けたほうが女性の活躍する場が増えるのではないか。これを今ふうの言葉で表すなら「クォータ制」ということだ。北欧のノルウェーで生まれた制度のようだが、日本もさっさと導入したほうがよい。

試験の成績を80%まで減点され、あげくに男子受験者は加点されていたことを 踏まえ、「いま、東京医大に在籍する女子学生は天才だ」と飯島勲氏は指摘する。(写真=時事通信フォト)

一方、今でも堂々と、女性定員を公表している大学がある。防衛大学校だ。一般の定員300人のうち、女子の枠は約35人だけだ。このほか、推薦、総合選抜の枠もあるが、いずれも女子の定員は募集人員の1.2割。同校の学生受験要項には、入学試験ではなく「採用試験」と書かれており、その任務にあわせた男女比だといわれれば誰も文句はないのだろう。防衛大学校の二次試験には、他大学と違い、身体検査がある。総合選抜になるとさらに厳しく、適応能力試験、問題解決能力試験、基礎体力試験といった他大学ではありえない試験科目が並ぶ。「適応能力試験」は、試験期間中2日間の行動を観察して受験者を評価するもので、「基礎体力試験」は「50m走、立ち幅跳び、ソフトボール投げ」によって、幹部自衛官として必要な基礎体力を評価するのだという。

先に述べた通り、医学部の入学試験は、大学病院の採用試験でもある。防大と同様に、医師という特殊な業務にあわせて、体力テストを取り入れてはどうだろう。幅跳びやソフトボール投げは必要ないかもしれないが、長時間の手術に耐えうる体力を評価する持久走や、体格のよい患者に対応するための握力や背筋力などの試験はあってもよいのではないか。

筆記試験の得点を操作するより、よほど医師に必要な人材を選べるはずだ。もし、現場の激務に耐えうる医師がほしいという理由で女性の合格比率を下げていたとするなら、男性と同等の体力のある女子を選抜すれば問題は起きない。また、男子も走ったらすぐにバテてしまうような人物は除外しておいたほうが合理的だ。男女の比率をあらかじめ公開して入試をするか、男女差別一切なく将来役に立つ学生を合格させたいなら、入試に「校庭100周走」を入れる、これが私の結論だ。

昨年、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の津川友介助教授が発表した「女性医師(内科)のほうが患者の死亡率が低い」という論文が世界的に話題になった。体力に自信のある女性医師をドンドン増やしていこうではないか。